おしえてムーラン

セカンドライフまでに考えておく生命保険と公的年金

「なんとなく加入しているんです・・・」

最近、FP相談を受けている中で聞く言葉です。何に加入しているかというと、自分が万が一にあった場合にご遺族に保険金が支払われる、いわゆる民間の生命保険です。定期保険、終身保険、収入保障保険などあります。

万が一の場合の死亡保障については、この「なんとなく」加入している場合には、家計に負担をかけながら保険料を支払いしていることも考えられます。ご相談の中であるのは、現在はおひとりで暮らしていて、父母や兄弟姉妹もいらっしゃいますが、特にお金を残すことは考えていないというパターンです。自分が万が一の場合に残された家族の生活が困窮しないための対策、が生命保険に加入する大きな目的だと考えますが、その目的がぼやけたまま生命保険に加入している時には、家計に少なからず負担がかかることになります。ですので、子供たちがまだ小さくてこれから学費がかかる、などの大きな理由がない限りは、必要最低限の保障で十分であると考えられます。特に誰かに残す目的もなく2,000万円の生命保険(定期保険など)に加入する必要はないと思います。

ただ、民間の終身保険を若い頃から加入している場合などは一生涯の死亡保障を得られることになりますが、例えば60歳などで保険料の払込期間が終了したような場合には、終身保険は貯蓄性のある保険と言われ、保険料の払い込み終了後は解約払戻金が支払った保険料よりも多く戻ってきます。一生涯の死亡保障として、残されたご家族への保険金とすることができますし、途中で解約することにはなりますが、支払った保険料よりも少し多くなった解約払戻金をその後のセカンドライフの資金にできたりもしますので、生命保険といっても種類があり、使い方も様々あることを覚えておいてください。

そしてセカンドライフでの大きな助けになるものの一つが、多くの人にとっては公的年金の受給になると思います。きちんと最低でも10年以上、国民年金保険料を納めることが大前提にはなりますが、65歳以降、公的年金の受給開始になります。では、自分がどれくらいの公的年金を受給できるかを確認するために、毎年、誕生日月に届く「ねんきん定期便」をご覧になってみてください。50歳以上の方に届くねんきん定期便では、今のままの条件で60歳まで働き続けた場合の年金見込み額が記載されています。セカンドライフの資金計画などでご相談をいただく際には、年金見込み額の確認等、ねんきん定期便を有効活用しながら計画を立てたりシミュレーションしたりしていきます。

また最近では、人生100年時代というキーワードも浸透してきていますが、令和3年簡易生命表の概況(厚生労働省)の主な年齢の平均余命を見てみますと、65歳の男性で19.85年、65歳の女性で24.73歳となっており、65歳まで生きた男性は84歳、女性は89歳まで生きる可能性が高いことが見てとれます。それらを踏まえてみると、セカンドライフを迎えるまでの貯蓄や資産の状況にもよりますが、年金の「繰り下げ受給」も検討材料に入れておくと良いかもしれません。現在の日本の公的年金は受給開始を60歳~75歳まで選べる選択制のような形ですが、65歳以降に受給を繰り下げることによって、1ヶ月繰り下げることに0.7%年金額が増えます。従来は70歳まで繰下げ可能でしたが、今年の4月からは75歳まで、条件はありますが繰下げが可能になりました。70歳まで5年間繰り下げると42%増えた年金をその後受給できていく計算です。平均余命が伸びてきていることを考えると、女性の方は特に年金の繰り下げ受給をしていくこと意義がありそうです。公的年金は「保険」の機能になりますので、損得勘定を考えるのはどうかと思いますが、65歳受給と比べて総支給額が上回るのが11年と11ヶ月後になります。この数字も少し頭の中にいれながら、必要な時には身近にいらっしゃるファイナンシャル・プランナーを頼ってみたりしながら、セカンドライフの人生設計を考えてみるのも良いかもしれません。

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