お知らせ

おしえてムーラン

市場地合いと倫理観~購入申込書の意義

コロナウィルスの経済的な影響として、飲食店の苦境が伝えられていますが、不動産についても大都市圏のオフィス賃料等が下落するなど一定の影響がみられます。青森市において、あくまでも私の肌感覚としては、今のところ不動産の取引件数の減少はあまり感じられません。ただし、コロナによって、国内外の物資輸送に制限が加わるなどの理由により様々なモノの流通が相対的に滞り、モノ不足を招くことにより、モノの価格が上がる―コストプッシュインフレの状態になってきています。新車を生産するための半導体が不足し、新車の生産が滞り、減産や納期の遅れが生じていますが、それにより中古車の価格の高騰を招いています。日本の新築住宅に使用される木材は、北米からの輸入材が多くを占めますが、この木材の調達が難しい状態となっており、大手住宅メーカーでも請負価格の値上げを発表しました。車と同様、新築価格の高騰は、中古住宅価格を高値に誘導することになります。

「再調達価格」とは…

一般的な感覚として、住宅の価格は概ね30年で0(ゼロ)、すなわち新築後30年経てば土地と建物の価値の合計は、土地の価値と一致すると捉えている人が多いと思います。仮に30年でゼロになる住宅の現在価値を推し量るときに、計算の基になる新築価格が再調達価格です。この再調達価格は、前記のように“概念的な新築価格”であって、“新築された時の価格”ではありません。“今、この住宅を新築したらいくらかかるか”という価格です。したがって、実際に新築されている住宅の価格が、資材の値上がりや人件費の上昇により高くなっている場合には、中古住宅の価格についても、“今、新築したら…”現在の資材価格や人件費を基にして価格が形成されることを想定した価格を規準として価格が計られることになります。

市場地合と倫理性

こうした市場地合は、経済的な格差を増大させる要因となりますが、経済格差が大きくなると、市場は限られた見込客の争奪の色合いが濃くなります。不動産市場でも、こうしたことから「お客様をより大事にする」意識が働いていると思いますが、「大事にする」その方法が正しいかどうかは考えてみる必要があります。

「購入申込書」の意義

不動産を購入する際、買手が購入意思を示す方法として購入申込書を提出するのが慣例です。この購入申込書に法的な拘束力はありません。つまり、契約したいという意思表示にすぎず、一方的な買手から売手に対する意思表示ですから、契約が成立しているわけではないので、購入意思が無くなった場合に「買うのをやめます」と言っても何らペナルティが課されるわけではありません。しかし、この法的拘束力がないことをいいことに安易に申込みをするケースが増加傾向にあるように感じます。法的に問題がなくても、道義的に極めて非礼な行為であることは善良な人は勿論のこと、普通の感覚を持っている人には理解していただけると思います。購入申込みをする際は、①購入希望条件が成就したら不測の事態が発生しない限り撤回しない。そのために②資金調達の裏付けと、資金調達可能時期を明確にした上で申込むというのが、申込みの当事者である買手にとっても取引の安全に繋がります。不動産の取引は、一般消費財と違って相対(あいたい)取引ですから、売手と買手の相互の権利が守られ、利益の衡量が相互に認められなければ成立しません。当り前のことを当り前に考えて行動することは、何より自身の身を守ることになります。

おしえてムーラン

金融リテラシー調査から見る、青森県民のお金に対する特徴

自分の身近な人やまわりの人とお金の話をする機会はあまり多くないとは思いますが、どんなお金の使い方をしているか、どんなお金の考え方を持っているか、気になったことはありませんか?お金についての青森県の特徴を見て取れるものに、「金融リテラシー調査」があります。金融リテラシー調査は18歳以上の個人を対象に、お金や金融に関する行動の特色を把握するため、金融広報中央委員会が実施するアンケート調査です。調査時期は2019年3月、18~79歳の全国25,000人を対象にインターネットで実施されました。私たちの住む青森県では、260人が対象になりました。内容は金融知識・判断力を問う正誤問題と、行動特性・考え方を答えてもらう調査ですが、今回は青森県民の『行動特性・考え方』を見てみたいと思います。


家計管理の問題では、例えば「1か月の支出の金額を把握していますか?」という問いに、①把握している ②把握していないのように答えてもらいます。1ヶ月の支出を把握している人の割合は75.8%で、全国で見ると第7位という結果でした(第1位 島根県)。次に「病気、失業、不景気等の万が一の事態に備えて3か月間分の生活費を確保してありますか?」という問いについては、①確保している ②確保していない ③わからないという選択肢でしたが、緊急時に資金を備えている人の割合としては45.4%の人しか備えられておらず、全国第45位という結果でした(第1位 香川県)。「定年退職後の生活費について、資金計画を立てていますか?」という問いについては、①計画を立てている②計画を立てていない という選択肢で、老後の生活費の計画を立てている人の割合が35.8%となり、第24位になりました(第1位 北海道)。一方、資産形成、資産運用にも関わってくる「株式を購入したことはありますか?」という問いに対しては、①購入したことがある②購入したことはない という回答の中で、実際に株式を購入したことがある人の割合は16.5%ということで、残念ながら47位となりました(第1位 徳島県で40.1%)。全国と比較すると東北地方が低い順位となっています。また、「10万円を投資すると、半々の確率で2万円の値上がり益、1万円の値下がり損のいずれかが発生するとします。あなたなら、どうしますか?」という問いでは、①投資する ②投資しない の回答で、青森県は『②投資をしない』が84.2%と第1位になりました。全国平均より6.9%多く、「損をしたくない!」と考えながら行動する人が多いということがわかります。


以上のような結果から、青森県民のお金に関する行動や考え方の特徴として、・1ヶ月の支出など家計管理を把握出来ている人はいるものの、長期的な目線での病気・失業・不景気になった場合の備え、老後の資金計画を上手く立てられていない人が多い・損失を避けたい傾向が強く、資産形成に必要な株式などの金融商品を購入する人は多くないという傾向が見られることがわかりました。また、その他の質問内容から、新聞・雑誌・テレビ・インターネットを利用して金融経済情報を全く見ていない人の割合が多い(第39位)などありますが、家庭で保護者から「お金の管理」について教わる機会があったと回答した方の割合は全国第8位と上位となることから、『学ぶ機会はあったにせよ、継続的にお金の知識について学ぶことができていない』傾向が見て取れます。その結果、お金の知識をしっかり身に付けられていないことから、長期的な計画を立て資産形成することに慣れていない、ということが言えるかもしれません。


人生100年時代と言われる中、お金に関わる青森県民の特徴を参考にしながら、自分自身やご家族の家計管理、将来のための備えや資産形成について考えてみて欲しいです。毎日、とは言いませんが、少しずつでもお金の情報に触れる機会を増やしていただきたいと思います。

おしえてムーラン

株価値動きの変調

後の2,000万円問題が言われたのは、もう2年も前のことです。その時点で経済的な将来不安は高まっていました。そこにきて、昨年来のコロナ禍により、2年前の経済状態でさえ現時点から見れば相当に望ましい状態であるという事態となりました。しかし、世界的に危うい経済状態の中で長引く金利低下、拡張的経済政策により、一部では金余りが生じ、そのお金が株式市場に流れ込み株高にもなりました。日本の株式市場も30年ぶりに日経平均が3万円を超える局面もありましたが、乱高下かつ膠着の状態にあります。

これまでと異なる値動き

これまでは、円安だと日本株は株高になりやすい傾向が顕著でした。日本の代表的な産業と言っていい自動車など、有力な輸出関連の会社は円安・ドル高の場合に輸出代金が円換算すると増えるためです。このためドル需要が高まることにより、相対価値の変化から円安・ドル高が生じるということです。そしてこの円安時に起きたのが、これまでと異なる円安であるにもかかわらず株安という現象でした。その後、昨年後半にかけては円高に転じましたが、ここでも円高・株高という動きになりました。そして今年に入ると円安であって株価は停滞というものになっています。コロナ以前は、世界的に株安の場合は円高に進むケースが多くみられました。国の借金が多いと国内では言われる日本ですが、我が国の債務の“債権者”はそのほとんどが国内に在り、いわば身内の借金なので、他国のような外部からの借り入れではないため、国際的に円は安全資産と受け止められていたからです。ところがコロナにより世界の株価が暴落した昨年3月、なぜか円安となりました。いわゆる「有事のドル買い」が起きたためと言われています。「有事のドル買い」というのは、株価の暴落などでお金の流れが滞れば、貿易などにおける決済資金が確保できなくなるという予測の下で、国際間で最も決済時に使われるドルを確保しようという動きです。

今後どのような動きになるのか

前記したものは、全て起こった事象を述べたものであり、株式の世界で結果が出た後は、後付けの理由はいくらでも付けられます。でも、その理由付けをする人の今後の予測が当たるかというとそうではないのが現実です。経済的に不確実な世の中で、コロナのような疫病による急死のリスクも高まり、かつ、長生きする確率も昔に比べれば高くなっている今、年金もアテにならないと思われる方も多く、投資による副収入を考える人も増えていると思いますが、どのような考え方で市場に向き合えばよいのかも定まりづらいところです。

参考:GARP手法

GARPは、グロース・アト・ア・リーズナブル・プライスの頭文字を並べたもので、成長と割安の両方を追う手法です。この手法においては株価収益率(PER)を予想利益成長率で割ったPEGレシオが良く使われます。一般的にPEGレシオが2までが割安の目安とされますが、実際にこの1年の値動きを見るとPEGレシオが低い銘柄は堅調に推移しているようです。

おしえてムーラン

2021年度介護保険制度の改正について

介護保険法は、1997年12月に公布され、制度自体は2000年4月から始まりました。制度が始まってから20年が経過し、これまでの間に3年に一度のサイクルで制度の見直しが行われてきました。そして、2021年今年が見直しの年度にあたります。従来までよりも、よりよいサービスを受けられるよう見直しされてきたとはいえ、問題は山積みというか、先送りにされてきている感が否めない気がしています。介護業界には財源不足や人手不足、少子高齢化などさまざまな課題があります。特に来年はいわゆる“団塊の世代”が後期高齢者に突入する年。支え手不足により介護保険制度の財源がより圧迫される見通しとのこと。


上記の課題を見据え、今年度は以下の改正が行われます。

◎地域包括ケアシステムの推進
◎自立支援・重度化防止の推進
◎介護人材の確保・介護現場の革新
◎制度の安定性・持続可能性の確保…

そして新型コロナに係る改正として、

◎感染症や災害への対応力強化

が盛り込まれました。具体的には、

◎高額介護サービス費の上限額の引き上げ(本人または世帯全員が住民税課税者の自己負担額は月額一律44,000円だったが、年収に応じて上限額が引き上げられる。)
◎介護・障害・子ども・困窮の相談支援に関わる事業の役割を地域包括支援センターなどに一本化する
◎介護予防の柱としての「通いの場」の推奨(これはそもそも2014年の改正で盛り込まれた論点でした。今回改めて「推し」の論点となった背景には、高齢者が趣味や運動、会食、ボランティアなどを気軽に楽しめる場を住民主体で設け、通うことによる「介護予防」「認知症予防」「QOL(生活の質)の向上」の促進につなげたい…とのことですが、増大し続ける保険給付を少しでも抑えるのが目的なのかなと個人的には思います。)

他にも業務負担軽減のための「介護事業所におけるICTの導入」などの論点が盛り込まれています。(詳しくは厚生労働省ホームページをご覧ください。)今回の改正を読んでいても小規模な改正だとは思えないのですが、実は冒頭でも書いたように、本来今年度の改正論点として入っていたものが、2024年度の改正へと先送りされたものがかなりありました。たとえば…

◎介護保険料の負担年齢30才への引下げ
◎居宅介護支援の自己負担1割の導入等

です。単に先送りされただけであって、次回2024年改正に再び取り上げられるだろうし、成立の可能性も否めません。先送りされる分良いことといえば、ICT関連(AI等)の分野は今後3年でさらに技術も進歩して、ケアプラン作成等で今以上に利用できるのかもしれません…が、高齢化が進むほど、要介護者が増えるほど、むしろ私たちの利用者負担額や税などが増えるのは目に見えています。


介護保険制度は、現在、40歳以上の人が加入者(被保険者)として保険料を納め、介護や支援が必要と認定されたときに、介護サービスを利用できる制度です。そしてサービス利用料の一部を介護保険が負担してくれます。利用者の負担は原則1割(所得に応じて2割・3割)です。
残りの負担は介護保険の財源で賄っており、ちなみに財源の50%は加入者の保険料、残りの50%は公費(国・都道府県・市町村の税金)です。私はあくまでこの制度は「保険」だと思っています。だからこそ、負担している保険料が、本当にこの給付を必要とする人たちに、質の良いサービスとして行き届くことを願っています。

おしえてムーラン

ビットコインに慣れ親しんでおく方法

ビットコイン(BTC)は「デジタルゴールド」などとも言われ、金に代替する資産と言われるようになってきました。伝統的な資産運用としては株式や債券、投資信託、金など様々がありますが、資産の1~5%程をビットコインやその他暗号資産で持っておくのも良いなどとも言われてきています。

最近ではアメリカのテスラ社(イーロン・マスクで有名ですね)、microstrategy社がビットコインの購入をしたり、北米でのビットコインETFの承認などが報告されるようになりました。ビットコイン(BTC)は値動きが激しいのが特徴で通貨として機能するのかという疑問はありますが、ビットコインなどで物を購入するのがより身近な時代がやってくるかもしれません。自分で購入してみるはちょっと…という方でも、ポイントをビットコインに交換したり、はたまたビットコインをもらうなど、慣れ親しんでおく方法があります。


例えばビットフライヤーでは、Tポイント100ポイントで85円分のビットコインと交換することができます。
コンビニ、TSUTAYAなどでの買い物、ガソリンスタンドでの給油などで貯まったポイントをコツコツ交換していく方法があります。また、ビットフライヤーのホームページを経由することによって、楽天市場、ヤフーショッピングなどでお買い物をした時に、それに相当するビットコインがもらえます。ピザハットオンライン、楽天ふるさと納税など、全225のショップがあります。

旅行、パソコン、洋服など皆さんも良く見たことのある購入サイトが多いのも特徴です。クレジットカードの新規申し込みや、光回線の契約などは少し得られる金額分が大きいようです。ビットフライヤーのホームページを経由するというひと手間はかかるかもしれませんが、そのひと手間が苦にならなければ、やってみる価値はあると思います。


楽天ウォレットは、楽天ポイントをビットコインなどに交換できます。最低100ポイントから、1ポイント1円相当で暗号資産へ交換することができます。特徴はビットコインだけでなく、イーサリアム(ETH)、ビットコインキャッシュ(BCH)へ交換することができます。
通常のポイントは交換できますが、期間限定ポイントは利用できないことには注意です。実際に楽天モバイルを契約してもらえた期間限定の8,000ポイントは利用することができませんでした。また、暗号資産を楽天キャッシュに換えて、実際のお買い物をすることができるようにもなりました。

この流れは、とても大きいのではないかと思っています。世界で初めてビットコインとモノの交換がされたのはいつなのか?ですが、2010年5月22日にピザ2枚と1万ビットコインが交換されたのが世界で初めての取引と言われています。それを記念して5月22日は「ビットコイン・ピザ・デー」と呼ばれています。1万ビットコインは今の価値に直してみると…ものすごい金額です!おなかいっぱいどころではない数のピザが買えてしまいますね。


始めてみるには、ビットフライヤーや楽天ウォレットのホームページ経由、アプリなどにてアカウントを作成してみてください。自分のお金を使ってビットコインを購入するのは…と思っている方でも、コツコツと少額でもビットコインに触れて慣れ親しんでおき、将来を見据えて資産の一部として見ていくのも良いかもしれません。

おしえてムーラン

相続空き家の登記義務化

「ひいじいさんの名義の土地があるんだけど、売りたいと思いまして…」という相談に来られるお客様が時々いらっしゃいます。

売却するためには、その事前作業として登記上の名義を現状と一致させる必要がありますが、ひいじいさんが亡くなってから40~50年を経過していることも珍しくなく、そうなれば、ひいじいさんの相続人が百名近くに及んでいる場合もあります。事前作業だけで相当の期間と相当の費用を要することになります。

相続登記が義務化へ

空き家等対策の推進に関する法律(空家法)が施行されてから5年が経過し、政府は所有者不明土地対策に本腰を入れています。
所有者不明になる原因は、まさに相続の際に、亡くなった人が所有していた土地や建物の登記名義を変更せず、長年放置してしまうことにあります。

私のところに相続に来られた方は、少なくとも自分が相続の権利を有する土地や建物があることを知っているわけですが、“ひいじいさんの家”の相続について権利がある人の中には、相続発生から40年も経てば、そうした土地・建物の存在を全く知らない人も含まれている場合も多く、売却したい相続権を有する人の思い通りに、まずその人の名義にするためにはすべての相続権利者の合意が必要となります。

空き家問題は、このように個々の人々にとっても悩ましい問題へと発展する可能性がありますが、国全体としても大きな問題です。そこで政府は国会に相続登記を義務化する法案を今月(2021年3月)提出することになりました。今のところ 、この法案が成立すれば 、2023年度から施行されることになりそうです。

法案の内容は…

①今までは任意だった登記ですが、改正案では、相続開始後3年以内の登記を義務化するようです。
これに従わないときは10万円以下の過料となります。②亡くなった人が遺言を残していないときは、遺産分割協議をする必要があります。この協議で誰が、何を、どのように相続するかを決めないと、相続登記を行うこともできません。

これまでは、遺産分割協議について法律上の期限はありませんでしたが、改正案では相続開始から10年を過ぎると原則的に法定相続割合で分けられることになります。③上記①②を考えれば、「売れない土地を持たされても厄介なだけだな」と思う人もいることでしょう。

そこで改正案には土地所有権の国庫帰属制度が新設されます。これは国が土地を引き取ってくれる制度ではありますが、国が審査をし「一定の条件」を満たすことが求められます。

この一定の条件は

ア)対象地は更地であること。
イ)抵当権が付着していないこと。
ウ)境界の争いがないこと。
エ)土壌汚染がないこと

などです。こうしてみると、もし対象地の上に老朽化した建物がある場合は、相続人の負担で解体しなければなりません。また、境界の争いがないことを客観的に証明するためには土地家屋調査士に依頼し、境界の確認、実測を行うことが必要になります。更に、国に土地を引き取ってもらうには10年分の管理費を相続人が払うことになりますので、実効性がどの程度なのかは、やや不透明な感じがします。

改正案で相続登記以外のこと…

所有する不動産の売却をするときには、取引の安全を図るため、登記された内容と所有者の現状を一致させる必要があります。
また、これが一致していないと客観的に本人に売却の意思があって取引がされたものかの確認ができないため、買主への所有権移転ができず、すなわち売却ができないことになります。その不動産を取得したときに登記した内容(住所・氏名)が、婚姻、離婚、引越し等の理由で、実際に変わったら、売却のときまでにその変更を登記に反映することが取引の安全上必要です。

但し、今回の改正案は所有者不明土地をなくすことが目的であり、そうした意味において所有者の住所・氏名を明確に把握するためにこの件も義務化されます。住所・氏名の変更は2年以内に登記しなければならず、違反すると5万円以下の過料という法案内容になっています。

おしえてムーラン

国保の世帯主とは?

父がこれまで勤めていた会社を昨年末で退職し、本年よりいよいよセカンドライフデビューをした。父としては、しばらくはゆっくりしたいとのことだったが、社会保険を脱退したため、国民健康保険(以下「国保」)への切換手続きをしなければならず、市役所で手続きをしてもらうよう話して向かわせた。(他の健康保険などを脱退したときや被扶養者でなくなったとき、住所・世帯主・氏名などが変わったとき等、国保へ加入または脱退する際は、14日以内に手続きが必要となります。詳しくは青森市ホームページ等をご覧ください。)ところが。市役所からいったん帰宅した父から「現状のままだと、おまえの国保の保険料の引落用に使ってる銀行口座から父さんの保険料も一緒に天引きされるそうだ」という、”寝耳に水”と言えるような話を聞かされ、話が真実なのか確認するため、市役所の国保医療年金課へ問い合わせをしてみた。結論から言えば、住所が同じであっても世帯分離をしていて、親と子の生計が別ということであれば、別々に通知することも、納付することも可能とのことだった。とりあえず、胸をなでおろすことができたが、そもそもの「国保」についてと、担当の方の説明の中で出てきた「世帯主」という言葉が気になったので少し調べてみた。

国保について

日本において最初の公的医療保険は、1922年(大正11年)に施行された健康保険法であり、これは企業雇用者の職域健康保険であった。市町村運営方式により、官庁や企業に組織化されていない日本国民が対象となったのは、1958年(昭和33年)であり、1961年(昭和36年)には、日本国民全てが「公的医療保険」に加入する国民皆保険体制が整えられた。また最近では、平成30年4月に改革があり、運営主体は市町村から都道府県になった。(保険給付や被保険者証の発行は今までどおり市町村が行い、保険給付の点検を都道府県が行うことで、財政運営の責任主体が都道府県に変わりました。)この改革は、産業構造の変化や雇用形態の多様化、人口の高齢化による高齢者医療費の増加、1980年代以降の経済成長率鈍化による国の財政悪化等により、国民皆保険制度を破綻させず将来にわたって守り続けるために行われた。改めて自分の保険証をまじまじと確認したが…国保の保険証の一番上の部分には「青森県国民健康保険被保険者証」、下の部分に「交付者名 青森市」と表記されていた…今まで全く気づかなかった(笑)

世帯主について

国保では,職場の健康保険のように「本人」「被扶養者」などの考え方はなく、一人ひとりが「被保険者」となり適用は世帯単位となる。老齢者や乳幼児等の所得のない方に対しても保険給付を行うことから、世帯課税主義をとっており、各種の届出義務や保険料の納付義務、保険給付を受ける権利は、家族を代表する「世帯主」が有することになるそうだ。そのため世帯主が国保に加入していない場合でも、国民健康保険証や納入通知書は世帯主の名前で交付される。(保険料は加入している方の人数・所得に応じて計算される。)

最後に。国保への加入・脱退期限「14日」についてだが、14日を過ぎてしまった場合でも手続きはできる。また、14日を過ぎてから加入届出をした場合、届出された日からしか保険証が使えないので、ご参考まで。

おしえてムーラン

出産を期に考えるお金のこと

結婚、出産、子育てはライフイベントの中でも大きな出来事。考えておかなければならないのは、今までは夫婦共働きをしてきているが、退職して子育てをするのか、それとも会社は辞めずに育児休暇を取ってまたその会社に復帰して働くか、など、大切に生まれてきた子供と一緒に過ごす時間を確保したいと思うのであれば、それらはより悩ましい問題かもしれません。私は5歳になる娘と、3歳になる息子がいますが、我が家の場合、妻が復帰後の仕事のことを考えずに子供と向き合う時間を作って子育てに専念できる環境を整えるため、退職した上で子育てをするという方を選びました。それぞれの家庭環境と考え方で異なることではありますが、仕事を退職して子育てをするのと、育児休業をして子育てをしていくのとでは、社会保険などを含めての「お金」についてはどのくらい違いがあるのかを見て行きたいと思います。


まずは産休時の「出産手当金」。会社員として働いている女性(職場の健康保険加入)が、出産以前42日、後56日の間に仕事を休み、給料が出ない時に1日につき、給料1日分の3分の2に相当する額を受け取ることができます。出産時の「出産育児一時金」。健康保険から子供一人あたり42万円を受け取ることができます。病院で直接支払い制度の手続きをしておくことにより、出産時に病院への支払いがない場合が多いかもしれません。育休時の「育児休業給付金」。1歳になるまで子育てのために会社を休む場合、雇用保険から休む前の賃金の67%(半年間)を受け取ることができ、半年経過後は50%を受け取ることがでます。出産を期に退職しないメリットを見てみると、会社員以外の女性では受けられない出産手当金や育児休業給付金、社会保険料の免除を受けられることがあります。また、厚生年金額が増えることを考えると生涯賃金にも多少の差がつくことが考えられます。あとは昨今の経済状況を鑑みますと、一度離職してしまうと再就職に苦労することもあるかもしれません。出産前までは正社員だったけれども、なかなか正社員として雇用してもらうのが難しかったり、正社員としての雇用を望みながらもパートや非正規雇用の形で働いている方も多いでしょう。それらを踏まえた上で、出産を期に退職して子育てをするのと、育児休業をして子育てをする場合の「お金」について、例えば月収が20万円であった女性で考えると、出産を期に退職して子育てをする方は出産育児一時金42万円のみが受け取れます。対して、育児休業して子育てをする場合、概算にはなりますが、出産一時金42万円、出産手当金が約64万円、育児休業給付金が約127万円、社会保険料の免除が約39万円など、約270万円+αというような違いが出てきます。「お金」の面ではこのような違いが出てくるということを知っておいた上で、ご自身の家庭環境、仕事環境、ライフプランを総合的に考えて判断する必要性があると思います。


子供はかけがえのない存在です。子供たちと過ごす時間は人生の中でも最も豊かな時間のひとつかもしれません。その豊かな時間をどのように過ごすのか、お金のことだけではなく、自分自身がどのようにしたら一番嬉しいのか、そして楽しいのか、そのような基準で決めていくことも、人生の後半で出産と子育てを振り返った時に、本当に良かったと思えるのかもしれませんね。

おしえてムーラン

投資は長期か、短期か?

早いものでもう12月です。今年は春からコロナの脅威に対して、世界中がジレンマを抱えたまま、この時期に至った感があります。私はボクシングを見るのが大好きなのですが、当然にボクシングの興行も世界的に影響を受け、10月末までは大きな試合もなく淋しい思いをしていました。そのような中、日本が誇る世界チャンピオンの井上尚弥がラスベガスで見事な防衛、又、中谷潤人が、素晴らしい内容で世界タイトル奪取と、長期間の鬱憤を晴らす見事な勝利を収めてくれました。閑話休題、そうしたコロナ不況の中で、株価はバブル期以来の高値となっています。今回は、投資について考えてみたいと思います。

今の株高は本物なのか?

11月中旬、日経平均は29年ぶりの高値をつけました。コロナ不況といえども、これが追い風になる業態もあることは確かですが、なぜこれほど株高になったのか私にはわかりません。もっともらしいことを言うエコノミストはアメリカの大統領選挙でのバイデン氏の勝利(※本原稿執筆時、未確定ですが…)により、先行き不透明感が薄れてきたからだ、などと、後付けの解釈をしますが、私が思うに、それは結果論であって、最近の株式の動きの傾向とコロナのリスクを孕んでいる現在の状況にあっては、いつ急落してもおかしくないような気がします。金融市場は様々な要因で動きます。全ての財の価格は、その財について我々が認める効用、その財の相対的稀少性とその財に対する有効需要の三者が結合して形成されます。その財のうち、株式は最も値動きが時間的に細かく、かつ、それが明示されることにより、株式に投資している人に心理的な動揺も与えやすい性質があります。そして、この値動きの時間的な細かさが、短期投資と長期投資の選好についてのジレンマを生みます。

短期か長期か?

今回のアメリカ大統領選挙のような大きなイベントがあると、通常の時期よりも短期投資家が増える傾向があります。こうしたイベントの前後(特に後)は、値動きが大きくなりがちなので、“当たれば”比較的大きな利益が得られます。ハズレれば当然に逆の結果となります。また、通常の時期においても何らかのアナウンスにアンテナを張っている投資家は、細かなタイミングで売買を繰り返しています。しかし、短期は“フェイント”に掛かることも稀ではなく、小刻みな打撃戦のような様相を呈しながら市場は推移していきます。一方、長期投資については、多くのファイナンシャルプランナーが「投資の王道」として語ることも多く、長い年月で見れば複利効果も手伝って長期投資に一定の効用を見出だすことができます。但し、11月の株価が“29年ぶりの高水準”ということは、概ね30年前に株式投資を始めた人は、全体的に見ればずっと低迷期を強いられていたことになります。長期という曖昧な言葉だと焦点がぼやけますが、直近30年という長期では、必ずしも王道が勝ったとは言えません。私見で言えば、短期と長期を同時並行で試し続けるのが、現実的な王道だと思います。短期での打撃戦で、打ったり、打たれたりしながらを続けていくことにより、長期投資に値する銘柄に対しての目利きができるようになる―というのが、人間という短期的に不合理で長期的には合理的という習性を持つ動物にとって、結果的に最も賢明で、持続性のある方法だと思います。

最後に

しつこいようですが、コロナ禍にあって、日本のボクシング界が煌びやかな時期を迎え、長期ボクシングファンの私としては感慨もひとしおです。年末には、井岡VS田中という日本人同士のスーパーファイトを控え、ワクワクしています。今年も“おしえてムーラン”をご愛読いただきありがとうございました。それでは、よいお年を…。

おしえてムーラン

基準地価と再開発事業について

9月29日に東北各県で2020年の基準地価が発表されました。全県的にコロナ禍の影響が色濃く出ていたようで、価格は下落傾向にありました。本県も例外ではなく、新型コロナの影響で、住宅地や商業地など全ての用途で下落幅は拡大したとのこと。ところが。このコラムを書くにあたり、東北各地の基準地価などを確認していたところ、比較的価格の下落幅の小さいエリアや上昇しているエリアもあることに気付き、原因を調べてみました。不動産に限らず、モノの価格は費用性・収益性・市場性の三面から決定されます。このうち需要者の意向は市場性に反映されます。価格が下落するのは、需要がないから。逆に上昇するのは、それだけ私たちがそのモノやコト、ヒト、企業…に対して期待している裏返しであるといえると思います。例えば県内の基準地価でみると、住宅地、商業地とも下落率が高かったのは、高齢化や人口減少の進んでいるエリアでした。雇用の機会が増え、所得が増え、地域経済が活性化すれば、そのようなエリアでも今後地価の上昇も見込めるのかもしれないけれど…。


では、県外での傾向はどうであったかというと。先に記したように、全体的に基準地価は下落傾向ではありましたが、私が特に気になったのは秋田市・山形市・仙台市の商業地の地価上昇の伸びでした。調べてみると、どの市でもミニ開発や再開発事業が行われており、特に仙台市では6.9%も地価が上昇していました。再開発事業といえば、青森市でも2018年1月に市役所の総合窓口機能が、7月には青森商工会議所が駅前に移転するなど、青森駅周辺の整備が進んでおり、近年のインバウンドの増加やクルーズ客船寄港、ねぶた祭等に対応するため、民間事業者による再開発も併せて計画されています。新町の角弘エリア(中新町山手地区)の再開発事業では、ホテルと商業施設で構成する「ウエスト棟」と、共同住宅となる「センター棟」の建設を計画、年明けにも施工者選定に向け、公告する見通しとのことです。また、中三青森店跡地(新町一丁目地区優良建築物等整備事業)の再開発事業では、先日の新聞記事によると、複合施設が2棟建設予定で、セレクトショップやカフェなどの飲食店、クリニック、エステサロンなどの施設と居住用マンションの併設といった内容になりそう。青森市でも、これらの事業に国の交付金などを支援する等、再開発を後押ししています。他県のように、これらの事業が再開発エリアの地価の上昇をもたらすことになるのかな…。いずれにしても、人の流れが戻り、街の活性につながるといいなって思っています。


◇基準地価について
そもそも基準地価とは、各都道府県が9月下旬に発表している土地の価格で、公示地価と同様に土地取引の指標となる価格です。土地の価格には他にも、・公示価格(国(国土交通省)が3月中旬に発表している土地の価格)・路線価(国税庁などが算定した土地価格で、相続税や贈与税等の税金を計算する際の算定基準になる土地の価格。相続税路線価と固定資産税路線価の2つがあり、相続税路線価は公示地価の8割程度、固定資産税路線価は公示地価の7割程度となっている。)・実勢価格(実際に取引が成立したときの価格)などがあります。いずれも目的が異なり、算出方法も異なるので価格に差が生じます。違いを理解し、使用目的を明確にして適切な価格を使用したいものですね。

おしえてムーラン

「個人向け国債」でお金の置き場所を変える

大手銀行など金融機関の定期預金金利が0.01%から、0.002%に引き下げられています。今から考えると、1970年代に銀行の預金金利が8%近くあった時が、まさに夢のようですね。また、現在は日本で2007年に生まれた子供の半数が107歳より長く生きると予想されています。(リンダ・グラットン著 LIFESHIFT 100年時代の人生戦略より)。人生100年時代、楽しく健康にすごすために必要なものとしては、友人、趣味、社会活動、健康、そして、お金が必要になってくると考えられます。「健康に長生きしたい!」というのが誰しもの願いだと思いますが、健康寿命を延ばすとともに、『資産寿命』も延ばさなければなりません。資産寿命を延ばす資産形成の選択肢として、・つみたてNISA、iDeCoなどで投資信託をコツコツ積み立てていく(リスク資産)・より安全な商品として、預金、個人向け国債など(無リスク資産)などがあり、リスク資産と無リスク資産をバランス良く持つのが大切になります。


その無リスク資産の代表的存在の1つ、それが『個人向け国債』をご存じでしょうか?あまり聞きなれないという人が多いかもしれませんが、国が発行する債券(借金)を個人投資家に買いやすくしたものです。国が発行する債券なので、「一番リスクが低い」とも言われています。身近にある銀行などでも購入でき、もちろん、ネット証券などでも購入できます。【個人向け国債】・1万円から購入できる・固定金利3年、固定金利5年、変動金利10年の3つのタイプがある・金利の下限が0.05%(年率)・半年に1回ずつ、年に2回、利子がもらえる・1年経過すれば、いつでも換金が可能などの特徴があります。銀行預金は銀行が万が一、破綻などした場合には1,000万円とその利息までしか保障されませんが、多く預けられる方は個人向け国債にそのような制限がありませんので、より安全だとも言えそうです。個人向け国債の現在の金利は、3つのタイプとも下限の0.05%となっていますが、変動金利10年は実勢金利に応じて半年毎に適用利率が変わるため、受取利子が増えることもあります。


これらの特徴から、“将来のある時期に使い道が決まっているお金”を安全に運用する方法のひとつとして、個人向け国債が選択肢のひとつになります。目的別に利用する方法としては、子供の教育資金を長い目で見ながら用意する方法にも使えそうです。子育てをしていると、日々、何かとお金がかかり、なかなかお金を貯められないというご家庭もあると思います。あくまでも教育資金を目的として、日々の生活に使わないように安全に「お金を置く場所を変えておきたい」というニーズにも応えられます。例えば、大学・専門学校などの進学のための子供の教育資金は、18年間かけてコツコツ積み立てる必要ありますが、学費として公立大学244万円、私立大学(文系)424万円などかかることを考えると、18歳までに400万円あると進学がしやすくなります。現在、子供がいる家庭に給付されている児童手当(15歳まで)で198万円、その他毎月1万円ずつ18歳まで積み立てていくと216万円、合計で414万円になります。“その他毎月1万円ずつ積み立てる分”を個人向け国債の購入に充てていくという方法も考えられます。選択肢として学資保険なども考えられますが、17~18歳まで解約できない、もしくは解約すると元本割れしてしまう、高校進学時に私立高校に行くことになり費用が必要になった時に解約しづらい、などがありますので、中途換金がしやすい個人向け国債を利用して柔軟にお金を使えるようにしておくのも良いでしょう。


自分自身のライフプランやお金についての考え方次第にはなりますが、『お金の置き場所』を変えることで、リスク資産と無リスク資産のバランスを考えながら、安全に少しでも有利に運用することも心掛けたいですね。

おしえてムーラン

コロナ禍と不動産

今年はコロナウィルスの影響でねぶたなどの季節を感じる行事がないためか9月といわれても何だかピンとこない感じもありますが、今回は不動産取引や不動産に係る制度におけるコロナの影響について論じます。

1.路線価と今後の土地価格の動向

7月に国税庁が発表した路線価では、東北六県全体(標準宅地の平均値)で前年比1.2%の上昇でした。青森市の最高地点となった“青森市新町1丁目 新町通り”では3.2%の上昇でしたが、上昇したのは1992年以来28年ぶりのことです。近年の傾向と併せてみれば、底打ちからやや上昇へと転じた局面とみることができます。但し、この路線価は1月1日現在の価格であってコロナの影響がまだ反映されていません。公的価格でコロナの影響が反映されるのは7月1日時点の価格である地価調査価格(都道府県が発表する土地取引の際の指標となる価格)からになりますが、多くの見方は首都圏の特に中心部は下落圧力が強まるのではないかというものです。コロナの影響で在宅ワークが進むことに加え、働き方の多様性や”時間経済”の考え方(通勤時間が無くなる効率性など)と相まって、一部の業態では都心のオフィスに通う必要性が低下するからです。パソコンでテレビ電話機能と書類等のやり取りが可能となれば勤務先に通う必要もなく、それはどんな所に住んでいても通信機能さえ整っていれば仕事をするのに支障がないことを意味します。このような傾向は、私たちのような地方在住者にとって人口増加とまでは言わないまでも、人口減少の抑制に働くことは十分に期待され、相対的な人口構成の変化が地方の土地価格の微上昇や下落抑制を促すのではないかと思います。

2.路線価修正の可能性

先に述べた国税庁が発表する路線価は、相続や贈与が発生した場合の評価の基準となる価格です。実際に相続税を支払う必要が生じる被相続人の割合は、2015年の法改正以降で約8%、概ね12人に一人の割合です。これは全国平均の数値であり、青森は土地評価額が相対的に低いためこの割合を下回っているでしょうが実際に支払い対象になる人は存在し、被相続人所有土地の場所によってはコロナの影響で土地の実勢価格が下落しないとも限りません。相続が発生した時の時価評価とは、原則的に相続発生年の路線価を基準とすることになっていますが、国税庁でも急激な実勢土地取引価格の変化があった場合は路線価の修正という異例の検討をしているようです。

3.中古住宅取引等への影響

収入減少で住宅ローンの支払いが厳しくなる人が多くなることが予想されています。そうした場合借入をしているご本人にとっては、まずは借入先に相談することが肝心です。金融機関では個々の事案を精査し支払い猶予や一時減額等の対応をしてくれる場合があります。又、売却を要する場合については”任意売却制度”があります。これは、ローンの支払い困難者の住宅等を競売にかける前に市場で売却する制度です。売主となるローンの支払い困難者にとっては、競売になるとそれが公になりますが、任意売却中に取引が成立すれば支払い困難が原因で売却したことが公になりません。又、競落される場合より高値で取引が成立する可能性が高いため、場合によっては借入完済したうえでお金が残るケースもあります。貸出元の金融機関にしても競売より債権の回収額が多くなるのであれば任意売却を利用した方がメリットがあります。加えて、任意売却によって売り出された物件は、それを購入する人にとっても一般的な市場取引価格よりやや安価に購入できる可能性があるうえ、人助けにもなります。市場公開期間が短いものではありますが、現在の社会的背景から、任意売却物件は今後増えることになると思います。

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