おしえてムーラン

基準地価と再開発事業について

9月29日に東北各県で2020年の基準地価が発表されました。全県的にコロナ禍の影響が色濃く出ていたようで、価格は下落傾向にありました。本県も例外ではなく、新型コロナの影響で、住宅地や商業地など全ての用途で下落幅は拡大したとのこと。ところが。このコラムを書くにあたり、東北各地の基準地価などを確認していたところ、比較的価格の下落幅の小さいエリアや上昇しているエリアもあることに気付き、原因を調べてみました。不動産に限らず、モノの価格は費用性・収益性・市場性の三面から決定されます。このうち需要者の意向は市場性に反映されます。価格が下落するのは、需要がないから。逆に上昇するのは、それだけ私たちがそのモノやコト、ヒト、企業…に対して期待している裏返しであるといえると思います。例えば県内の基準地価でみると、住宅地、商業地とも下落率が高かったのは、高齢化や人口減少の進んでいるエリアでした。雇用の機会が増え、所得が増え、地域経済が活性化すれば、そのようなエリアでも今後地価の上昇も見込めるのかもしれないけれど…。


では、県外での傾向はどうであったかというと。先に記したように、全体的に基準地価は下落傾向ではありましたが、私が特に気になったのは秋田市・山形市・仙台市の商業地の地価上昇の伸びでした。調べてみると、どの市でもミニ開発や再開発事業が行われており、特に仙台市では6.9%も地価が上昇していました。再開発事業といえば、青森市でも2018年1月に市役所の総合窓口機能が、7月には青森商工会議所が駅前に移転するなど、青森駅周辺の整備が進んでおり、近年のインバウンドの増加やクルーズ客船寄港、ねぶた祭等に対応するため、民間事業者による再開発も併せて計画されています。新町の角弘エリア(中新町山手地区)の再開発事業では、ホテルと商業施設で構成する「ウエスト棟」と、共同住宅となる「センター棟」の建設を計画、年明けにも施工者選定に向け、公告する見通しとのことです。また、中三青森店跡地(新町一丁目地区優良建築物等整備事業)の再開発事業では、先日の新聞記事によると、複合施設が2棟建設予定で、セレクトショップやカフェなどの飲食店、クリニック、エステサロンなどの施設と居住用マンションの併設といった内容になりそう。青森市でも、これらの事業に国の交付金などを支援する等、再開発を後押ししています。他県のように、これらの事業が再開発エリアの地価の上昇をもたらすことになるのかな…。いずれにしても、人の流れが戻り、街の活性につながるといいなって思っています。


◇基準地価について
そもそも基準地価とは、各都道府県が9月下旬に発表している土地の価格で、公示地価と同様に土地取引の指標となる価格です。土地の価格には他にも、・公示価格(国(国土交通省)が3月中旬に発表している土地の価格)・路線価(国税庁などが算定した土地価格で、相続税や贈与税等の税金を計算する際の算定基準になる土地の価格。相続税路線価と固定資産税路線価の2つがあり、相続税路線価は公示地価の8割程度、固定資産税路線価は公示地価の7割程度となっている。)・実勢価格(実際に取引が成立したときの価格)などがあります。いずれも目的が異なり、算出方法も異なるので価格に差が生じます。違いを理解し、使用目的を明確にして適切な価格を使用したいものですね。

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