おしえてムーラン

出産を期に考えるお金のこと

結婚、出産、子育てはライフイベントの中でも大きな出来事。考えておかなければならないのは、今までは夫婦共働きをしてきているが、退職して子育てをするのか、それとも会社は辞めずに育児休暇を取ってまたその会社に復帰して働くか、など、大切に生まれてきた子供と一緒に過ごす時間を確保したいと思うのであれば、それらはより悩ましい問題かもしれません。私は5歳になる娘と、3歳になる息子がいますが、我が家の場合、妻が復帰後の仕事のことを考えずに子供と向き合う時間を作って子育てに専念できる環境を整えるため、退職した上で子育てをするという方を選びました。それぞれの家庭環境と考え方で異なることではありますが、仕事を退職して子育てをするのと、育児休業をして子育てをしていくのとでは、社会保険などを含めての「お金」についてはどのくらい違いがあるのかを見て行きたいと思います。


まずは産休時の「出産手当金」。会社員として働いている女性(職場の健康保険加入)が、出産以前42日、後56日の間に仕事を休み、給料が出ない時に1日につき、給料1日分の3分の2に相当する額を受け取ることができます。出産時の「出産育児一時金」。健康保険から子供一人あたり42万円を受け取ることができます。病院で直接支払い制度の手続きをしておくことにより、出産時に病院への支払いがない場合が多いかもしれません。育休時の「育児休業給付金」。1歳になるまで子育てのために会社を休む場合、雇用保険から休む前の賃金の67%(半年間)を受け取ることができ、半年経過後は50%を受け取ることがでます。出産を期に退職しないメリットを見てみると、会社員以外の女性では受けられない出産手当金や育児休業給付金、社会保険料の免除を受けられることがあります。また、厚生年金額が増えることを考えると生涯賃金にも多少の差がつくことが考えられます。あとは昨今の経済状況を鑑みますと、一度離職してしまうと再就職に苦労することもあるかもしれません。出産前までは正社員だったけれども、なかなか正社員として雇用してもらうのが難しかったり、正社員としての雇用を望みながらもパートや非正規雇用の形で働いている方も多いでしょう。それらを踏まえた上で、出産を期に退職して子育てをするのと、育児休業をして子育てをする場合の「お金」について、例えば月収が20万円であった女性で考えると、出産を期に退職して子育てをする方は出産育児一時金42万円のみが受け取れます。対して、育児休業して子育てをする場合、概算にはなりますが、出産一時金42万円、出産手当金が約64万円、育児休業給付金が約127万円、社会保険料の免除が約39万円など、約270万円+αというような違いが出てきます。「お金」の面ではこのような違いが出てくるということを知っておいた上で、ご自身の家庭環境、仕事環境、ライフプランを総合的に考えて判断する必要性があると思います。


子供はかけがえのない存在です。子供たちと過ごす時間は人生の中でも最も豊かな時間のひとつかもしれません。その豊かな時間をどのように過ごすのか、お金のことだけではなく、自分自身がどのようにしたら一番嬉しいのか、そして楽しいのか、そのような基準で決めていくことも、人生の後半で出産と子育てを振り返った時に、本当に良かったと思えるのかもしれませんね。

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