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おしえてムーラン

住宅ローンの返済と住宅ローン選択時の考え方

日本銀行が導入したマイナス金利。民間銀行が日本銀行の「当座預金」へ預け入れるお金の一部にマイナス金利を導入した影響で、民間銀行の預金金利は0.001%まで下がり、私たちの生活にも影響が出てきています。その中で、住宅ローンに関しては金利を引き下げる金融機関が増え、住宅購入を考えている人にとっては追い風が吹いてきているように感じます。住宅購入は自分自身のライフプランや家族のことを考慮し、人生で一番高い買い物をすることになります。夢のマイホームは手に入れたいけれども、将来の予測がしづらくてなかなか踏み切れない…という方も多いでしょう。踏み切れない理由の中には“住宅ローンの返済をきちんとできるのか”が大きく占めると思います。住宅金融公庫(現在、住宅金融支援機構)の『住宅ローンに関する顧客アンケート調査結果の概要』で、「住宅ローンの返済について気になることはどれですか?」という統計を取ったところ、

①教育費、介護費など“住宅ローン以外の支出増”(37.3%)② 返 済 中 の 金 利 変 動 に よ る 返 済 額 の 増 減(27.6%)③リストラなど収入減に伴う返済への影響(26.7%)が上位を占める結果となっています。また、日本銀行の論文『住宅ローンのリスク管理』の中の「融資後経過年数とデフォルト率の関係」によると、住宅ローンを支払えなくなる割合(デフォルト率)は、◆借り始めてすぐの時期から一定期間、支払えなくなる割合は上昇する◆約10年を超えると支払えなくなる割合が少なくなっていく

という結果が出ています。住宅ローンの返済開始直後は返済意欲も高いと考えられますが、数年経つと取り巻く環境も徐々に変わってきて支払えなくなるケースが多いようです。約10年を過ぎると元金返済も進んでいて、しっかりと返済できている人達だけが残ります。以上から、住宅ローンを借りる際は『最初の10年間にしっかり返済する計画』をきちんと立てることが大切であると言えます。住宅ローン金利が低下している現在、住宅購入をする際に変動金利型が良いのか、固定金利型にした方が良いのか、どの金融機関にするべきか悩んでいる方も多いかもしれません。金利が0.1%低い金融機関を探すことももちろん大切ですが、“住宅ローンをどう返していけるか”を念頭においた住宅ローンや金融機関選びをしていくのが大事ではないかと思います。貯蓄も出来ていて繰上返済をこまめにしていけそうなのであれば繰上返済の利便性や手数料を重視する、毎月の返済額が決まっていた方が今後の家計管理がしやすいというのであれば固定金利を選択するなど、金利が少しでも低ければ自分の満足度が高いのであれば金利が低い金融機関を選ぶなど、自分自身の不安を軽減してくれる住宅ローン、金融機関を選ぶようにするのが良いでしょう。

おしえてムーラン

老後破産と不動産の関係って?

「老後破産」という言葉が使われるようになってからずいぶん経ちますね。ウィキペディアには2014年時点において、約200万人の高齢者が老後破産の状態で老後を過ごしているとありました。この200万人という数字は65歳以上の高齢者のおよそ16人に1人(独居にすれば3人に一人)だそう。今後、年金支給開始年齢の引き上げや、年金額の減少が確実なのがわかっている現在40歳代の私たちはこの事態をもっと重く受け止めなければならないのではないでしょうか…。と、いうことで、今回は特に同世代の方に読んでいただければと思います。実はこの「老後破産」は“住まいのお金”ととても関係が深いのです。たとえば年金生活以降も住宅ローン残がある、また賃貸なら生涯家賃分の蓄えがない場合、年金収入のうち半分は住宅ローンや家賃になります。定年後も働くから大丈夫と思っていても、病気になって働けなくなってしまったら…日々のキャッシュフローが回らないのは想像に難くないですよね。しかも住宅ローンを払い終えないと、家は自分のものにもなりません。途中で返済できなくなったら今までの支払いも水の泡です。ところが多くの場合、予算を考える前に住宅展示場やモデルハウスに足を運んでいらっしゃるケースが多いような気がします。展示場やモデルハウスを見学して気にいった物件を見つけてしまうと、どうしたらこの家を買うことができるかということに考えが及んでしまい、ローン返済の確実性がおろそかになりがちです。さらに「家賃並みの支払いでOK」「変動金利・35年ローン」「頭金なしでOK」などという甘い言葉が、購入意識に追い打ちをかけます…これはざっくり言い換えると「頭金を貯めることができない状態の住宅購入希望の方が、一番安い金利で、一番長い期間のローンを組めば、ギリギリ購入できるかもしれません」ということです。仮に、上記の“甘い言葉”の住宅ローンを組んだ場合、そのご家庭では教育費や老後資金を貯めることはかなり難しいはずです。

私は住居費に充てることができる額は、手取り収入の20~25%程度だと考えます。ただし、この割合はあくまでも目安です。なぜなら手取り収入が同じでも、お金の使い方は人によって違うからです。また、住宅ローンについては、年収ベースで借りることができる額を借りるのではなく、月々の家計費のうち、住居費に回せる額を基準に借りるべきです。おそらく、住居費ベースで計画したほうが借入額は少なくなりますので、返済に無理のないプランを立てることができると思われます。「賃貸か?購入か?」という永遠のテーマがありますが、個人的には購入派です。ローンを完済してしまえば、その後の住居費はメンテナンス代・維持費・税金だけで済みます。これから住宅購入をお考えなら立地の良さが一番重要かと考えます。仮に将来介護施設などへ入居することになったり、ローン返済ができなくなっても、立地条件が良いと賃貸・売却できる可能性が高くなり、入居費用に充てることができますし、家計破たんも免れます。ちなみに…もし、現在においてローン返済が家計を圧迫し、身動き取れないようなら、本当に破たんする前に住み替えを検討すべきです。ライフステージごとに自分にとっての「快適な住まい」は違ってきます。定期的にライフプランを見直しながら、「老後破産」しない暮らしをしたいものです。

おしえてムーラン

注目される、家族による信託 〜判断能力の欠如に備えて〜

高齢者人口の約4分の1が認知症になっていると言われ、これからも増え続けていくことが予想されています。認知症になり、判断能力が無くなった場合に財産をどのように管理していくかという問題が浮かび上がってきますが、それを解決できるひとつの方法が、家族による信託です。信託は、財産を持っている人(委託者)が、信頼できる人(受託者)に一定の目的のために自分の財産の管理や処分を任せて、そこで得られた利益を特定の人(受益者)に渡す仕組みで、受託者の役割を家族や親族が引き受けるのが、家族による信託です。家族による信託が上手く機能する2つのケースを例に考えてみましょう。

【事例1】古い家に住んでいる一人暮らしの母親は80代。身体の調子や足腰も弱ってきてしまっていることから高齢者施設へ移り住もうかどうか考えているケース。別居している60代の息子がひとりいますが、母親の希望として、長年の思い出が残る家はそのままにしておき、月に何回かは帰宅して泊まりたいという気持ちがあります。もし、施設入所後に母親が認知症になり、判断能力が欠如してしまった場合、母親の自宅の管理や処分が問題になります。息子が近くに住んでいれば、家の管理や修繕ができますが、母親の生活費や施設でかかる費用を捻出するためにやむを得ず自宅を売却しなければならなくなった場合、所有者は母親なので、母親の意思判断能力が欠如していれば“ 売りたいのに売れない” という状況になってしまいます。つまり、息子は自宅を活用することも売却することも難しくなってしまうということです。そこで家族による信託を利用し、施設に入所する時や母親が元気なうちに、委託者と受益者を母親、受託者を息子、信託財産を母親の自宅、とする信託契約を結びます。自宅を売った場合の売却代金は受益者である母親のものです。その売却代金の管理は受託者である息子がしっかりと行い、母親のために有効に使うことになります。成年後見制度を使わなければ自宅の有効活用や処分が難しかったのが、自宅は息子の判断に委ねることができます。

【事例2】これから不動産が共有になる可能性があり、相続人間でもめるのを回避したい場合にも利用することができます。自宅兼アパートで暮らしている80代の父親に、同居している50代の長男、他県で離れて暮らしている40代の長女がいるケース。現金はあまりありませんが、今住んでいる土地と建物は長男に譲りたいと思っており、このまま相続が発生してしまうと、自宅兼アパートが“ 長男と長女の共有財産” となることも考えられます。共有になるとアパートの修繕や売却を考えた場合には、長男と長女が連絡を取りあいながら互いの承諾を得る必要が出てくるため、もめてしまう可能性も否定できません。そこで家族による信託を利用し、父親を委託者兼受益者、息子を受託者、信託財産を自宅兼アパートとする信託契約を締結します。信託契約書には、父親の相続発生時に備え、アパートの家賃収入などで発生する家賃受益権の半分は長男、もう半分を長女にするような記載もしておきます(第二受益者が長男と長女)。そうすることにより、①父親は自分が生きているうちは息子にアパートの管理を任せて家賃収入は受け取ることができる、②息子は父親が亡くなった後もアパートの建て替え・修繕・売却を自身の判断で行うことができると同時に、長男、長女でアパートからの収益を半分ずつ受け取ることができ、父親の遺産の半分を各々相続したことと同じ状態になります。このように利用できる家族による信託ですが、いつ検討すれば良いのでしょうか?検討するタイミングは「不安や心配を感じた時」です。認知症を発症してしまい、判断能力を失った状態になってしまっては、いかなる契約行為もできなくなってしまいます。元気で健康であるうち、子もまだ問題を感じていない時こそ対策を講じる時でしょうし、親の体調に変化が現れてきて子が問題を感じ始めた時はギリギリのタイミングになります。手遅れになる前に準備をしておくことが大事ではないでしょうか。

おしえてムーラン

マンション傾斜問題に考える

秋口から横浜のマンション傾斜問題が大きく報道され続けましたが、今回はこの問題から住まいの購入の際に今一度考えていただきたいことを述べてみたいと思います。

1.モデルルームで何を見るのか?

この問題についてテレビのコメンテーターからは「モデルルームしか見ることが出来ないし、構造的なことはよくわからない」「構造については信頼するしかないのに」といった発言がされていました。発言の趣旨は理解できますし、今回の問題に関して言えば、しっかりとした建物を造っていなかった業者が悪いのは明白ではあります。ただ、「業者が購入者に約束した構造」そのものについて、購入する方にも、もっともっと充分な関心を持っていただきたいと思います。マンションに限らず戸建住宅であっても、建築会社のモデルハウスがあります。モデルハウスでは最新の設備や内装、または間取りの一例を自分の目で確かめることができますし、そうしたものから、これからの生活の場を想像していくのは購入希望者にとって楽しい作業です。でも、見に来ているのは“ 建築” 会社のモデルハウスです。住宅設備機器メーカーや内装材メーカーのモデルハウスではありません。建物の主役は「構造体」です。設備や内装も日常生活を送る上で、より快適・便利な機能や楽しさを付加してくれる大事なものではありますが、構造はそれ以前の安全・安心な生活を営んでいく上での最も大切な基盤となります。建築費の中でも、基礎・柱・屋根・外壁などの主要構造部が占める割合が高いことは、容易に理解できると思います。購入希望者には必ず予算の制約がありますから、ただ頑丈さにお金をかけた住まいを造ればいいというものではありませんが、この予算制約の中で、構造に本当に自信を持っている会社は、そこを核となるセールスポイントとして購入希望者にアピールします。“ 安い” とか、“ いい設備が付いている”ということもセールスポイントのひとつではあるでしょうが、建築会社としての社会的な使命感を持っていれば、そこを“ 主武器” にはしないのではないかと思います。構造は、目に見えないところではありますが、むしろ見えないからこそ購入前に充分に吟味し、購入後の安心を手に入れていただきたいと思います。

2.マンション固有のこと

青森ではマンションの購入動機として“ 雪かきがいらない” というのが最も多いと感じます。マンションというのは全く珍しい存在ではないのですが、日本で建てられ始めたのが前回の東京オリンピックのころですから歴史とすればそれほど長くはありません。10年くらい前から建替えの際の具体的な問題が見えてきた、というところです。マンションは、ひとつの建物に複数の世帯が入っていますから、大規模修繕・建替えの際には自分の意思だけではできないということは、多くの方がご存知だと思います。又、戸建住宅と異なり、修繕積立金・管理費・駐車場利用料などの月々の経費が発生します。修繕積立金・管理費は安ければいいというものではなく、大規模修繕をするときに積み立てた金額では足りなければ、追加の出費をしなければいけません。こうしたマンション固有の性格をしっかりと把握して検討していただきたいと思います。

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