おしえてムーラン

建物の解体~売却との関連性

今年もお盆の季節がやってきました。普段は離れ離れに暮らしている家族が集まる時期でもあります。そうしたときに「母さんが住んでいたあの家どうする?」などという話の出る家庭もあるかと思います。空家の増加や、その放置のされ方が問題となっていることは周知の事実ですが、空家の管理・処分を考えるとき、その建物が古い場合は、建物の解体は避けて通れない話題となります。今回は、この解体について触れてみます。

解体の費用と見積

青森市内の解体費用の相場は、私の経験則で申し上げれば一般的な木造家屋の場合で建物1坪当たり3.5万円くらいです。ただ、これはあくまでも標準的なものであって、門や塀、樹木、駐車スペースとして利用していた部分のコンクリートの撤去などの費用がさらに発生することもあります。又、隣との距離がとても近くて足場がかけづらい、養生を通常よりしっかりとやらなければいけない、あるいは前面道路が狭く重機が入りづらい現場などは相応の費用もかかります。建物の中に残存物がある場合はその処分費用もあります。庭が立派な家や、建物が鉄骨や鉄筋コンクリート造の家は、建築や外構づくりにお金がかかったと思いますが、解体や撤去の際にも通常より費用が発生します。ところで、解体する前に費用がどれくらいかかるかを把握するために業者から見積をとるわけですが、実際に解体してから追加費用が発生するケースがあります。見積の時点では業者といえどもわからない、地中埋設物が出てきた場合がその典型例です。

地中の残骸物と売却

解体した建物がその土地での最初の建物だった場合はコンクリートの残骸などの地中埋設物が出てくる可能性は低いのですが、それ以前にも建物があった場合は、前回の解体の残存物が地中に埋もれたままのケースがあるのです。更地として取引され購入した方がそこに新築する際、基礎を作るために土を掘ったらこうした残骸が出てきた―というのは、そんなに珍しいことではありません。以前は住宅の品質の確保に関する法律もなかったですし、一般的に現在の住宅より基礎が小さかったため、多少の残骸があっても工事に支障がなかったのだと思いますが、今の法や建物の質からすると地中の残骸は新築するうえでとてもやっかいなものとなります。したがって、仮にこうした土地の売買契約を締結したとして、その契約条件として「売主は引渡後○月間、瑕疵担保責任を追う」とされていた場合で、その期間内に残骸等が出てきて買主から「除去してくれ」と言われれば売主はそれを除去しなければいけません。売主がいわゆる業者でない場合は瑕疵担保責任を付す義務はないので、“負わない”ということで売買契約を締結することも可能ですが、買主の目線で考えれば“だったら、もう少し安くしてくれ”と言われる可能性はあります。補足的な説明をすれば、瑕疵とはキズといった意味合いのもので、買主が購入後その目的を達成するための障害となるようなことをいいますが、“見えざる瑕疵”に限定されます。明らかに購入前に見たときにわかっていたもの、通常の注意力があればわかったであろうものや、契約前に売主から知らされていた事柄については、それを承知で購入したわけですから瑕疵には該当しません。

売主の責任

5月号で触れたインスペクションの趣旨と同様、時代は買主保護を強く要請しています。宅建業者や建築業者でなくても、不動産の売主には責任が求められていますので、売却を考える場合は以前より、覚えて、理解しておかなければことが多くなっています。

最後に

見積を確認した上で解体をしたのに、後から追加額が発生することは、依頼主からすれば“なんだかなあ”という思いになることは感情的に理解できますが、そうしたこともあるかもしれないと事前に心づもりをしておくことは必要です。又、見積を出す業者やその見積を解体業者に代わって依頼主に提出する宅建業者も、地中埋設物の件については、事前の説明をしっかりとしておくべきだと思います。解体費用については、ゴミの分別や事前のマニュフェスト作成が業者に義務付けられてから、又建築土木関連の人手不足と相まって相当に高額になった感がありますが、人間が共生しそれを持続していくための変化の一端として仕方ないのだろうと感じます。

付記―滅失登記は忘れずに

建物を解体しても、所定の手続きをしないと登記簿には記録が残ったままです。売却の際にこの登記が残ったままだと取引に支障がありますので、解体したら建物が無くなった登記上の手続き「滅失登記」を忘れずに行いましょう。滅失登記は土地家屋調査士に依頼して行うのが一般的ですが、その際の費用は概ね4~5万円程度です。

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