お知らせ

おしえてムーラン

おとなの後片付け問題

先日、着物仲間とコロナ自粛以来久しぶりに着物姿で会ったのだが、その際に「終活」の話になった。「帯を締めることができなくなったら、着物を手放す時よね~」という話題がきっかけだった。…認知症を発症するようなったら?…脳疾患になり入院後、そのまま施設で過ごすことになったら?高齢になり、身辺を整理できないままで亡くなると、遺された家族が家の中の不用品を業者に頼んで廃棄したり、遺品整理のために様々な労力を費やすことになる。ちなみに遺品整理費用の相場は、部屋の広さや荷物の量に比例して値段は上がり、4LDKで25万円~と聞いている。不用品はこまめにリサイクルやフリマなどを利用して事前に整理できるものはしておきたいなと思う…。ところで。認知症を発症するとモノの管理能力に影響が出てくるせいで、通帳や権利証、保険証書などの重要な書類の保管場所がわからなくなるそうだ。私もいつそのような状態になるかわからないし、何より家族にできるだけ迷惑はかけたくない。では、先手を打つためにはどうしたらよいのか。

重要な書類の管理

通帳、権利証、保険証券などの書類は大概は鍵をかけることができる引き出し等、人目につかない場所に保管されているのではないだろうか。私は父と二人暮らしだが、万一の時のことを考えてお互いに重要書類の場所は教えあっている。できればエンディングノートなどを活用し、重要書類の保管場所はもとより、暗証番号なども書き留めておいたほうがよいのだろう。他、10年以上取引のない銀行口座や、使っていないクレジットカードなどがあれば、やはりある程度の年齢になったら整理しておくべきだと思う。

任意後見制度の活用

そもそも「成年後見制度」は、認知症などで判断能力が不十分になった際に、本人に不利益が生じないように法的に後見人を決める制度だ。成年後見制度は“法定後見”と“任意後見”に分けられ、本人の意思を反映できるのは(本人に代わって行う代理権を付与する契約は)任意後見となる。では、任意後見契約でできることはどんなことだろうか。下記に挙げてみた。・預貯金の管理・年金(恩給)や手当の受領・日常生活に必要なサービスや商品の購入や契約・不動産その他の重要な財産の処分・遺産分割協議・要介護認定の申請や異議申立て・福祉関係施設の入所契約・介護サービスの提供を受けるための契約・医療契約の締結や入院医療費の支払い任意後見の開始時期は委託者の認知能力が後見相当となってからだが、民事信託であればあくまで契約で開始時期を決めることができる。ただし、任意後見で認められている身上介護はできない。他にも、自分ひとりで契約などの判断をすることが不安な方やお金の管理に困っている方をサポートする「日常生活自立支援事業(社会福祉協議会)」などもある。


活用できる制度は活用し、自分で管理できるモノを残しながら徐々にシンプルな生活にしていけたらと思う今日この頃。

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新型コロナウイルスと向き合うための家計の応急処置について

新型コロナウイルスが猛威を振るい、自粛をすることにより、仕事などを含めて多くの制限の中での生活が続いています。その結果、休業などで収入が減る、景気が悪くなり給与や賞与が減ることが考えられます。また、家にいることが増えて生活費が増える、そのために貯蓄を取り崩しながら生活しなければならない中で、今できる「家計の応急処置」はどのようなものでしょうか。それは公的支援など各種支援を上手く使うことです。個人向けの公的支援には支出を抑えるための支援、減った収入を補う支援があります。


【生活費が足りないという場合】
特別定額給付金
給付対象者1人につき10万円(給付対象者がいる世帯の世帯主に支給)郵送申請・オンライン申請(申請受付開始から3ヶ月以内)
緊急小口資金
一時的に生計の維持が困難となった場合の小額の貸付休業等により収入が減少し、生活維持が困難な世帯各条件に該当する場合20万円以内、その他は10万円以内(無利子・保証人不要)問い合わせ:市区町村の社会福祉協議会、労働金庫、取り扱い郵便局
総合支援資金
生活の立て直しが必要で、生活再建までに必要な生活費の貸付収入の減少や失業等により、生活維持が困難な世帯
2人以上の世帯:月20万円以内、単身世帯:月15万円以内(無利子・保証人不要)問い合わせ:市区町村の社会福祉協議会
生活困窮者自立支援制度
生活困窮する方への就労支援、家計改善支援、住居確保給付金、一時生活支援問い合わせ:市町村の自立相談支援機関休業手当(会社都合での休業)緊急事態宣言の休業要請での休業、在宅ワークを検討など受給額:平均賃金の60%以上の額問い合わせ:特別労働相談窓口
【子育ての負担が大きい場合】
臨時特別給付金
児童手当の受給者(令和2年4月分)へ、対象児童一人につき1万円小学校休業等対応支援金(個人事業・フリーランス向け)小学校などが臨時休業したことにより、子供の世話のために契約した仕事が出来なくなった個人で仕事をする保護者就業できなかった日について、1日あたり4,100円(令和2年2月27日~3月31日の間)就業できなかった日について、1日あたり7,500円(令和2年4月1日~9月30日の間)申請期間:令和2年12月28日まで問い合わせ:学校等休業助成金・支援金コールセンター 0120-60-3999
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
小学生以下の子供がいる母子家庭や父子家庭
新型コロナの影響で保護者の就業環境が変化して収入が減少し、日常生活に支障をきたした場合
限度額:一般 月額105,000円
貸付期間:離職した日の翌日から1年以内
問い合わせ:市区町村の福祉担当窓口
【失業者・給与未払い者への支援】
失業保険(雇用保険)
労働者が失業した場合に必要な給付を行い、生活の安定を図り、再就職の援助を行う
問い合わせ:ハローワーク
未払賃金立替制度
企業倒産で賃金が支払われずに退職した労働者へ、未払賃金の一部を立替払いする制度
倒産が認められた6ヶ月前の日から2年間の間に退職した者
未払い賃金の8割(定期賃金と退職手当で未払いのもの、上限あり)
問い合わせ:全国の労働基準監督署、独立行政法人労働者健康安全機構


ご自身に当てはまる公的支援がないか確認して、生活の維持に努めてください。また、その他の家計対策としては、家賃や住宅ローンの負担を減らしたい場合には、住宅確保支援金や、住宅ローン返済期間の延長や減額を依頼することがありますし、社会保険料や生命保険・損害保険、電気水道など公共料金の負担を減らすために支払い猶予の措置がありますので、それぞれ問い合わせをしてみてください。しっかりと家計を見直す時期なのかもしれません。家計全体のことで心配がある方は、身近にいるファイナンシャル・プランナーにもご相談してみることをおすすめします。

おしえてムーラン

アフター・コロナを考える

コロナの影響は、やはり自分にもじわじわと来ている。いかに「普段の何気ない毎日」が幸せだったかを思いしらされた。見たことのない、体験したことのない「不安」。先が見えないことに対する不安って、こんなにずっしりくるものなのかと感じずにはいられなかった。衣食住、働き方…様々なことに対する価値観が、自分の中で変化している。これまでとは違う世界の中で生きていかなければならないのだなと。もう、今までと同じ感覚でいてはいけないのだなと。在宅時間が長くなり、仕事との向き合い方、家族との向き合い方、生活そのものとの向き合い方など、再考しなくてはならない時期が“今”なのかなと感じている。とはいえ、上記のような消極的な面だけではなく、離れて暮らす家族や友達とオンラインで繋がる機会は寧ろ増えたし、オンラインだからこそ、普段めったに会えない方々と交流を持つことも可能となった。実は先日、趣味のグループ内でオンラインを使用した集まりを初めて行った。画面を通じてみんなと会って話す、たったそれだけのことなのに、なんだか不思議な感覚で、ドキドキした。限られた通信時間の中で、いかに効率よく話をまとめていけばよいのか、参加者の満足度を上げることができるのかなど、考えさせられることが多かったのだけど。緊張感半分、今後の課題半分という心境…。いずれにせよ、これまでどちらかといえば苦手で敬遠していた、パソコンやスマホのアプリや機能、通信環境を充実したものにするためのネットワーク接続等々…事前に知識を叩き込んで、一気にやらなければならないことが増えたけれど、自分にとってこのことはプラスの影響だと思っている。


考えてみれば、今までは仕事によって住む場所も限定されてきたのかもしれない。私自身、「老後はあの町に住みたい」とか、「将来も今のまま住み続けたい」とか、住環境を考えるのはあくまで「未来」が軸だった。だが極論言えば、地方であろうが首都圏であろうが、どこにいても仕事はできる。だとしたら、未来を軸に考えず、「“今”どうしたいのか」を軸に考えてもよいのではないだろうか。また、住環境に対するニーズは特に今後更に変化していくと思う。コロナが完全に終息を迎えるまでには、まだまだ長い期間がかかるとしたら、いまのままの家に住み続ける必要があるのかどうか。少なくとも「通勤面の良さ」という項目は、今後住まいを探す際の優先順位から次点落ちする方も増えるのではないだろうか。「リモートワークできるスペースのある家に住みたい」「親のいる地方へ戻り介護しながらリモートワークする」…集合住宅から庭付き一戸建てへ住み替え、首都圏から郊外へ移住、などということになれば、「地方」の在り方も今後見直されてくるだろう。


アフター・コロナの時代は、私たちにとって「働き方」「生き方」だけでなく、「住環境」の選択肢が増えているはず。これまで以上に主体性や自主性を求められることも多くなるのだろうけど、柔軟に対応していければと思う今日この頃。

おしえてムーラン

コロナ禍を乗り切ろう

このコラムは4月10日時点の情況に基づき記していますので、その点ご了承下さい。新型コロナウイルスが猛威を振るっています。生命の危機であり、経済的にも相当な不安を世界中に与えています。

まずは生命を“守り合う”こと

治療薬が開発され、使用されるまでは根絶しない限り、ウイルスの脅威は反復します。4月7日に緊急事態宣言が発令され、7都府県の住民に対する外出自粛、一部業種への営業時間短縮等の要請がされました。一定の効果は当然にあるでしょうが、その効果が表れた後に経済的不安の解消を重んじて要請の内容を緩めれば第二波はやってきます。生命を守ることと、経済的不安の解消の両立を図ろうとすれば、こうしたいくつかの波が来ることは当然に予想されます。波は来るごとに、次第に勢力を弱め、ゆっくりと終息に向かう―すなわち、目先の経済的不安を解消するためにコロナ不況を長引かせることになってしまう可能性は大きいと思います。現実的に世の中には、様々な人の、様々な事情や意見があって、完全に足並みを揃えることは不可能ですが、仮に不況が長引くことになっても、その間に生命を守る側面としての意義の変化は行われ、大事なことの優先順位の輪郭が、今よりも明瞭になると思います。私見とすれば、経済的不安にも当然に策は必要ですが、まずは生命を“守り合う”ことが一義であって、この意識の共有こそが収束に向かう最重要なことであると思います。

経済的不安と対応策

一部業種が感染拡大の温床として名指しされていますが、業務時間短縮等の要請に応じると経済的利益を得る機会を失うことになりますので、何らかの補償を求める声が起こるのは当然だと思います。しかし一方で、北海道でクラウドファンディングを利用した飲食店等の民間支援が行われ、この手法を千葉県柏市でも採用するなど工夫を凝らして難局に抗おうとする人たちもいます。また、経済的側面だけではなく、消毒液の不足に対し高知の酒造会社がアルコール度数77%の酒を発売し、消毒液の代替品として利用可能なものを市場に提供するなど、人間の英知と逞しさを感じさせてくれる話題も聞かれるようになりました。補償はされるべきではありますが、行政等に頼るだけではこの難局を乗り切ることができないのも現実です。誰かや何かの批判に費やす時間と労力を、自助・互助の方策を模索し行動に移すことにシフトしたほうが、余程建設的であって、人と人との間に生ずる喜びの増大につながると思います。

最後に…

4月8日には、今年の青森ねぶた祭りの中止が発表されました。とても残念ですが、比較的早い段階でこの発表をしたこと自体が英断だったと思います。全国各地の有名な夏祭りは数多くありますが、4月上旬であるこの時期に、他の地に先駆けて中止を発表したことは敬意に値します。このコラムを皆様が読んで下さっている5月に、少しでもコロナ禍が終息に向かっていると感じられる状態になっていて欲しいなと思います。まずは自ら、うがい、手洗いの励行と、濃厚接触を避けるような仕事の仕方の工夫を行っていきたいと思います。

おしえてムーラン

セカンドライフを見据えた、投資信託の 「定期売却サービス」 とは?

人生100年時代を迎えつつある今、健康に長生きするのはもちろんですが、『お金にも長生きしてもらう』ことの必要性、つまりは『資産寿命をいかに伸ばしていくか』にも目を向けていかなくてはいけません。つみたてNISAやiDeCoの制度が少しずつ普及しており、私のお客様でも、資産形成について研究し、より信託報酬の安いインデックスファンドを毎月積み立ててるなど、投資信託を使いながら賢く資産形成をしている方が増えてきました。つまり、資産形成の「入り口」については、それぞれ学び、始めてきていると思いますが、セカンドライフを見据えての「出口」についての解決策は今まで多くなかったように思います。例えば、65歳までの時期を「資産形成期」としたとするとすれば、公的年金の受給が始まる65歳以降を「資産の活用期+取り崩し期」と言えます。この65歳以降は、お金が必要になった時に、投資信託を解約して手元に現金として戻すことが考えられますが、その他の方法として、2019年12月からスタートした『定期売却サービス』という選択肢が増えました。この定期売却サービスは、保有している投資信託を受け取り方のニーズに合わせて、毎月自動売却していくことができるものです。利用することで、資産をそのまま運用しながら、より計画的な取り崩しをしていくことが可能になり、年金を補完する役割も担うと言えます。運用しながら使うことで、充実したセカンドライフを過ごすための資産寿命を伸ばすことにもつながります。


証券会社などによって少し異なりますが、具体的には、・「定額指定」…毎月売却する金額を指定、指定した金額を毎月受取り(1,000円以上1円単位)・「定率指定」…指定した投資信託の保有口数に対する売却率を指定相当する口数を毎月売却して受取り(1%以上0.1%単位)・「期日指定」…最終受取年月を指定初回売却月から指定年月まで、毎月売却して受取りなどの受け取り方ができるようになります。長期投資の先駆け的存在でもある、セゾン投信のホームページでは、「積立投資シミュレーション」と「取り崩しシミュレーション」があります。その中の『取り崩しシミュレーション』をしてみる場合、・取り崩し始める年齢・取り崩し開始時の金融資産総額・毎月の取り崩し額・想定利回り(年率)を入力することによって、『資産寿命は何年になるのか?』を見える化することができます。こちらで、運用しながら何年にわたって取り崩していけるのかをおおまかに把握することができると思います。


よく資産形成は、登山にも例えられます。また登山は、山に登っている時よりも下山をしている時の方がより注意が必要だとも言われます。エベレスト登頂に成功している三浦雄一郎さんは、下山する時には「次はどこの山に登るのか」を考え、次の目標を考えながら下山することで、より安全に下山できると聞いたことがあります。資産形成も同じで、下山の仕方をより深く考えることが大切なのかもしれません。妻や孫たちと楽しい生活を送る、今まで行ったことのなかった場所へ旅をしてみる、ボランティア活動や慈善活動を含めて、現役時代に培った経験をこれからの人たちに伝えていくなど、新たな挑戦や人生の選択肢を考えてみることが良いと思います。お金は貯めておくだけでなく、使ってこそ初めてその価値が出るものだと考えます。資産形成をしてきたお金を、より充実した生き方や挑戦、豊かな暮らしのために使い、素敵なセカンドライフを送りたいものですね。

おしえてムーラン

様々な“別れ”のカタチ

3月ですね。卒業式のシーズンです。今回は様々な「別れ」のカタチを取り上げてみたいと思います。

①「卒婚」と「離婚時年金分割」

…まぁ、これも“別れ”のスタイルの一つかなと。ちなみに卒婚と離婚は別物だそうです。卒婚は婚姻関係はそのままで、夫婦関係を“卒業”することだとか。婚姻関係は持続する…なら尚更、生活費の件などはきちんと話し合うほうがいいのかなと思います。対して「離婚時年金分割」のほうは「合意分割」と「3号分割」があります。合意分割は、夫婦が話し合って合意しないと年金分割ができない方法で、3号分割は妻が専業主婦の場合などに夫の承諾がなくても当然に年金分割できる方法です。ちなみに3号分割の場合、2008年3月以前の年金は、たとえ専業主婦の場合であっても夫と話し合って合意をしないと年金分割ができません。「専業主婦なら、夫の了承なくすべての年金が半分になる」と誤解されている方がまだいらっしゃるみたいです。誤解といえば、「夫の年金しか分割の対象にならない」というものもあるようですが、共働きの場合は、婚姻期間中に夫が支払った年金保険料と妻が支払った年金保険料を合算し、それを2分の1ずつに分割することになるため、妻の方が高収入の場合や、夫が自営業者で妻が会社員等の場合は、妻が受取る年金が減り、夫が受取る年金が増えることになります。

②「ターミナルケア」

この1年で、体のあちこちに不調が現れるようになりました。母が私と同じくらいの年齢時に体調不良やがんの発症もあったことを考えると、当然自分の死期のことも考えざるを得ません。と、いうことで後半は「人間の最期」について取り上げます。「死」というものについては、人に限らず、動植物も含めて、幼い頃から結構遭遇してきたように思います。皆さんはどのような人生の終え方をしたいですか?もし、病に罹患し最期を迎えるなら、「せめて最期くらい、体も心もこれ以上苦しまずに生を終えたい」と私は思います。祖母や母を看てきて、尚更感じるのかもしれませんけど。ターミナル(終末期)ケアとは、人生を終える時期の生活の質を高めるケアのことです。治療が目的ではなく、残された余生を充実させるという考え方です。精神面や身体上のストレス等を緩和するケアを行います。「緩和ケア」という言葉もよく聞かれますが、緩和ケアは、治療と同時進行です(ターミナルケアは緩和ケアの一部分)。ところで、ターミナルケアの自己負担額はいくらくらいかかるものなのでしょうか。ケア方針や治療内容にもよりますが、治療費に加えて、入院時には部屋代や寝具代、差額ベッド代などの費用がかかります。特に部屋代は、個室の場合、健康保険の適用外となり全額自己負担です。とはいえ、医療費については、例えば70歳以上の自己負担額は、1ヵ月の上限が57,600円、外来に関しては18,000円となっているので、終末期医療費の本人負担額がそれ以上になることは基本的にはありません。(現役並み所得者については、所得水準により上限額が分けられています)。ちなみに70歳未満でも(年齢や所得額によっては異なってきますが)一般的には上限は80,000円程度となっています。当然ですが、医療費をできるだけ低く抑えたいならば、定期検診等を利用して生活習慣や食生活を見直すなど、体を健康に保つことが大事です。人の命には限りがあり、いつかは最期を迎えます。その瞬間が来たとき、心残りがないように、毎日を紡いでいけたらと思います。

おしえてムーラン

消費税と消費者行動

昨年10月に消費税が8%から10%に引き上げられました。今回は消費税について少し深く考えてみたいと思います。

1. 消費税を巡る家計と国の関係

今までと同じ品質、同じ量の消費を行うと仮定すれば、税率がアップした分の支出が増えることになります。また、支出といっても税ですから、固い表現をすれば可処分所得が減少することになります。それは言い換えれば実質所得の減少です。消費と景気動向は当然に深く関係していますが、経済学としても、また、そんな固いものじゃなく誰もが直感的に感じるように、所得が減ると消費が減少します。消費は国全体にとっても景気を左右する最大要因であり、消費すればこそ国や地方公共団体に消費税という税収が入りますが、消費が減少すると税収の減少に繋がりかねません。理屈っぽく考えてみましょう。8%から10%に上昇した時の上昇率は、8%を100とすると、10%は125、つまり25%の上昇です。消費が25%落ち込むことはないでしょうから、税収減になることもないのですが、消費マインドが低下することは大きな問題です。前回、本誌11月号で、なぜ人は消費するのかについて述べました。いわゆる2,000万円問題を考えたとき、個々の家計では無駄な出費を抑えたほうが合理的です。しかし、日本に住む全員が合理的な消費行動をとってしまうと“合成の誤謬(ごうせいのごびゅう)”という「個々は正しいのに全体でみると不利益な状態」になってしまいます。

2. 増税の振幅

今回の消費増税については、生活必需品などでの軽減税率が取り入れられ、教育無償化などの対策もなされました。また、キャッシュレス推進の目的と抱き合わせのポイント還元など、官民一体で消費の落ち込みを防ごうとする動きがみられました。前回の増税は5%から8%への上昇で、かつ、将来は10%になるというアナウンスの下で行われましたので、駆け込み需要とその後の原動の振幅度が大きかったのですが、今回、は、“予定通り(実際は延期されて)”の上昇でしたので、様々なデータからは前回ほどの振幅は見られないような気がします。

3. 今後の家計はどうすべきか

結局のところ、日本全体が将来に悲観的になっていますから、身を守るための節約志向は今後も続くのではないかと思います。個人でも、将来に対して悲観的になると、生活や活動の意欲も減退し、それが更なる悲観的展望を生む悪循環になりがちですから、どこかで、気持ちを切り換えて意欲を高めた行動をして、それを続けていかなくてはなりません。今、日本は名目GDPで世界3位ですが、国民一人当たりのGDPでは世界26位になっています。少子高齢化、人口減少の加速化によって、なお悲観的になっている気がしますが、こんな時こそ“リストラ”本来の意味の再構築が必要だと思います。大企業が互いに手を組む事業を増やして生き残りを図ったり、コマーシャルの作り方、商品デザインを見ても直感的訴求力を重視している傾向が見えます。弊社でも本業を強くするために継続的に取り組んでいることがあります。“働くことは苦痛である”という暗黙の認識があるためなのかはわかりませんが、働き方改革という旗印の下で、労働できる時間は減っています。一方で、成果はこれまで以上のものが求められますから、自分内、家庭内リストラで思い切って何かを捨て、何かを得るための行動に出る必要がると思います。人間は弱いものですが、意外と強い面もあります。踏み出してしまうと案外、良い結果が出ることが往々にしてあると思います。

おしえてムーラン

退職金の上手な預け先は?

長い間、生活のため、人のため、社会のため、そして自分の成長のために汗水流しながら会社員務めなどを頑張ってきた人に会社から支給される退職金があります。そして、人生100年時代を迎えている今、退職金を含めて、『お金にも長生きしてもらう』必要があります。そこで、退職金の預け先について見ていきましょう。退職金の預け先の選択肢としては、・定期預金(退職金専用定期預金、ネット定期預金)・個人向け国債・投資信託・株式、債券(国内、海外)、ETF、REIT・生命保険商品の活用・その他などがあります。現状の普通預金の金利が0.001%、定期預金0.01%ということを念頭に置きながら、定期預金、個人向け国債、投資信託について見て行きたいと思います。


定期預金には、退職者専用定期預金があります。その名の通り、退職した方が退職してから6ヶ月以内などに預け入れをすれば適用されるもので、通常の金利よりも高いものが設定されています。ただし最初に預け入れた3ヶ月~1年だけ高い金利が適用、その後は通常の定期預金の金利になるという特徴があるところは覚えておかなければなりません。何度も利用できるわけではなく、一人1回、預入の上限は退職金で給付された金額までとなります。またネット銀行の定期預金は、預入期間1年のもので0.2%など、通常の20倍のものなどがあります。コンビニのATMで入出金ができますし、その後はパソコンやスマートフォンのアプリでも利用することができます。パソコンなどで自分が預けている金額が確認できるので、銀行へ足を運んで通帳を記帳しにいくようなことがなくて済みますね!さらに探してみますと、2019年12月現在、なんと「普通預金」の金利が0.2%(普通預金の金利でいえば200倍!)というネット銀行があります。ゆうちょ銀行のATMで出し入れをすることができますので入出金もすぐにでき、定期預金にする必要がなくまとまったお金を預け入れることができます。個人向け国債は、元本と利息の支払いを国が保証している安全性が高い金融商品と言われています。固定3年、固定5年、変動10年の3つがあります。3年、5年固定金利タイプは金利がそのまま変わらないもの、10年変動金利タイプはその時々の金利の状況に応じて金利が上がったり下がったりしていくものになります。最低保障金利が0.05%でそれを下回ることはありません。現在発行されている個人向け国債は、その最低金利にあたる0.05%になっていますので、預金金利よりも有利になっています。史上最低金利ともいわれている現在であれば、今後の状況によって金利も上がっていく10年変動金利タイプを選んでおくのが賢いかもしれません。銀行預金は預金保険制度により、銀行が破綻した場合など1,000万円とその利息までが保証されていますが、こちらは金額に限度がなく国が保証してくれるという特徴があります。5年以上など、当面使う予定のないお金については、投資信託での運用も良いでしょう。投資信託の利益にかかる税金が非課税になる『つみたてNISA』の制度も、資産寿命を延ばすための心強い制度になってきています。日本には投資信託は現在約6,200本あると言われていますが、その中から選べといわれても、数が多すぎてなかなか選ぶのは難しいと思います。つみたてNISAでは金融庁が長期・積立・分散投資に向いている厳選された約170本の投資信託が対象になっていて、低コストで長期での資産形成に向く商品が選びやすくなっています。その投資信託を毎月一定額で積み立て、月3.3万円まで、年間積立額40万円まで投資することができます(最大800万円まで)。利益が出た分は20年にわたって非課税になるので、資産運用する際の税金面で非常にお得な制度です。「今まで資産運用をしたことがないから、少し怖い」という方でも、今は1,000円などの小額から投資信託を積み立て購入することもできるので、気持ちが痛まない程度に初めてみるというのも良いかもしれません。


その他、株式投資、生命保険の活用などもありますが、生活費や病気・ケガなどに使うお金は短期資金、旅行やレジャー・住宅リフォーム代など5年以内に使う予定がるお金を中期資金、当面使う予定のないお金を長期資金としてお金を3つに分けて、退職金をリタイア後の生活に上手に活かしてみて欲しいと思います。自分が健康で長生きしながら、お金にも長生きしてもらいましょう。

おしえてムーラン

配偶者居住権の留意点

前回のコラムでも「改正相続法」について触れたが、今回も関連法の「配偶者居住権(2020年4月施行)」について取り上げる。夫が亡くなって、妻が自宅を相続した場合、それだけで法定相続分の2分の1を超えてしまい、妻の手元に現金が一切残らないという話を耳にしたことがあった。このような問題を解消するために創設されたのが「配偶者居住権」だ。夫からすれば、妻に終の棲家を保証し、現金も残せる。この新制度は非常にいいもののように思えるけれど…実は「安易に居住権に飛びつくのはキケン」と言われている。なぜ、キケンなのか?


夫に先立たれた場合、例えば…今まであれば、相続人が妻以外に子供が二人いたとして、評価額2,500万円の自宅と預貯金3,500万円の合計6,000万円の遺産があった場合、この3人で分割することになる。妻は遺産の1/2(3,000万円)相続し、子供はそれぞれ1/4(1500万円ずつ)分与されることになる。仮に妻が自宅を相続した場合、預貯金を受け取れるのは500万円のみとなる。自宅を売却し現金化して遺産分割する方法もあるが、「住み慣れた自宅を取る
か、お金を取るか」という問題で、多分妻は悩む。ところが「配偶者居住権」を利用すれば、妻は不動産の所有権ではなく「居住権」を相続することになり、仮に居住権が1,000万円だった場合、3,000万円-1,000万円=2,000万円の預貯金を受取ることが可能となる。(居住権の価値は「建物敷地の現在価値-負担付所有権の価値」で算定されるとのこと。詳しくは税理士さんなどにお確かめくださいね)配偶者居住権は期間を定めなかった場合、配偶者が死亡した時点で消滅するため、配偶者が自宅に一生涯住むことを前提とし、平均余命までの年数などをもとに計算するそうだ。つまり、居住権は妻の年齢が若いほど高くなり、高齢になるほど低くなる。(逆に、若くに未亡人になってしまった場合は手元の残る現金は少なくなるとも言える。)


ところで。配偶者居住権はあくまで「家に住む権利」であり、不動産所有権のように物件を譲渡したり、売却したりする権利はない。そのため、途中で「老人ホームに入居するから自宅を売りたい」と希望しても、妻自身が自宅を譲渡・売却することはできないし、仮に相続時子供が自宅の所有権を取得したなら、子供が譲渡・売却を行うことは可能だが、この物件に配偶者居住権が設定されていると第三者が購入したとしても実際に住む事はできない。また、親が認知症になり、病院または施設に入らざるを得なくなったケースだと更に問題が。居住権を配偶者(母親)が放棄すれば、所有者である子供が自宅を処分し、現金化し、入所代に充てることもできるのだろうが…認知症になった親にどうやって居住権の放棄をさせるのか…現実的に難しい。配偶者居住権は、一般的には配偶者が死んでしまえば消滅するため、子供への二次相続は母親の金融資産のみとなり、子供の相続税が減額される可能性がある。とはいえ、使い勝手の良い権利だとは私には思えない。私なら居住権に縛られるよりなら、いっそ、自宅を売却して、「自由」と「資金」を手に入れた方が、ストレスなく暮らせる気がする。


いずれにしても、法改正され、一見良さそうに見える法律も、メリット・デメリットは人によりけりだと思うので、設定する前に、専門家にご相談されるのをお勧めしたい。

おしえてムーラン

経済的不安と向き合う~政策と個人の意識~

先月から消費税が上がりました。消費税がアップしたことで私たちの生活で使うことのできるお金=可処分所得が減少したのは確かです。今夏の“2000万円問題”に象徴されるように、経済的に不安を抱えている人は増えています。

先進国の経済政策の基礎

先進国の経済政策は基本的にはケインズの提唱した近代経済学の考え方に基づいています。ケインズの考え方は“需要が国民所得を決定する”というものであり、“消費は美徳”とやや揶揄を含んで言われることもあります。経済学には論理を展開する前提がありますが、古典も近代も「人間は得られる財貨等は量が多いほうを選好する」というものです。確かに“金はジャマにならない”とも言われますし、テレビのバラエティ番組でもセレブと呼ばれる人たちを羨望するかのような作り方をしているのを見ると、そうした傾向は強くあると思います。ケインズの考えに、ある産業Aの活況→その産業従事者Aの所得増→その産業従事者Aの消費増→Aの消費による産業Bの活況…というように経済効果は波及するという“乗数理論”というものがあります。また政府支出相当額だけ国民所得は増加する、所得税は景気のブレ幅を小さくする安定装置の役割があるなど、一理あるけどちょっと楽観的じゃないかなと思うものが多いように感じます。

消費を分類して考えてみる

なぜ人はお金持ちを羨ましがるのか?お金持ちになって何をしたいのか?―このような問いに多くの人は「当り前じゃないか」という直感と「お金の所有度合いと人間としてのすばらしさ」や「人間としての幸せ」は必ずしも一致しないという直感を両方感じるのではないでしょうか。そもそも、なぜ、より多くのお金が欲しいかと考えれば、消費の選択肢が増えるからに他ならないと思いますが、“消費したい”理由を考えてみたいと思います。必需品―即ち衣食住のお金は、なくてはならないものです。ただし、今回の消費税の軽減税率にも反映されたように、必需と贅沢を大別することができます。必需はその名の通り、それなしには生きていけませんが、外食をしなくても死ぬことはありません。服は着ないと寒かったり、着ずに出歩けばむしろイケナイ犯罪となりますが、ブランド品を纏っていなくても、体調を崩したり、警察に捕まることもありません。でも人間は“ちょっといいモノ”を欲しがる傾向があるようです。

なぜ人は贅沢したいのか

私見ですが、端的に言ってしまえば“人に認められたいから”だと考えます。人には承認欲求があることは知られていますが、“こう見られたい”“こう思われたい”という自分の外から判断されるものに対する意識があります。ブランドものを持つ必要はなくても、高級車に乗る必要はなくても、意識するしないにかかわらず、承認欲求が少なからずあると思います。

贅沢は悪か?消費は美徳か?

承認欲求は過剰になると、端から見てみっともないものになりますが、人に喜ばれること、役に立つことをやろうとする動機付けという良い役割を果たすこともあります。程度を知りながら行うと、人間的な可愛げとなります。消費は美徳と断言することはできませんが、消費は経済環境の根幹であるこには違いないと思います。

最後に

承認欲求を考えたとき「良い服を着ること」と「人の役に立つこと」とどちらが自分の未来のためになるだろう―という視点で考えてみると、合理的な消費、意欲ある仕事に結びつくような気がします。意欲ある仕事で生産性を高めれば、経済にも良い影響が波及するということになります。政策などの仕組みは当然に大事なのですが、ひとりひとりが人間というものの行動形態とその行動を引き起こしている根っこを考えることが不安を根本から無くすことにつながると思います。

おしえてムーラン

Uターンなど含めた青森への移住に かかるお金

8月25日(日)、東京・丸の内で行われました「青森県合同移住フェア」にて、講師として登壇させていただきました。このフェアは、青森県すべての市区町村が参加し、移住に関する相談や必要な情報を集めるための専門家によるセミナーが聞けるもので、大盛況の様相でした。私自身、青森県の三村申吾知事の前に話をすることになっていたので、緊張感を持ちつつも、青森暮らしでかかるお金について自分のUターンの経験もふまえてお話させていただきました。午後からは、ライフプラン相談ということで6組ほどの対応。相談内容も多岐にわたりますが、2人でご相談される方は女性が青森県出身、男性が首都圏を含めた他の地域出身の方で、青森に住むことを考えているような方が多かった印象があります。


お金に関することは、青森に住んでいれば当然と思われますが、
【青森暮らしで増えるコスト】
・自動車関連費用
自動車購入費(自動車ローンを含む)、ガソリン代、自動車税、その他メンテナンス費用
・冬場の暖房費(世帯の人数により異なる)、自治会費など
【青森暮らしで減るコスト】
・家賃、暑い時期のエアコンなど冷房の費用
・駐車場の費用、電車など公共交通機関での移動費用
【移住で準備しておくべきお金】
・引っ越し代(単身:約12万円、2人:約20万円、3人以上:20~40万円など)
・住居費用(敷金・礼金、仲介手数料、火災保険料、家賃など)
・自動車購入費
・引っ越しまでの下見費用
・家具、家電購入費用
などが考えられます。
家賃でいえば、3LDKを借りる場合、東京23区の平均としては19.1万円/月ですが、青森市では7.9万円/月となっており、差額11.2万円/月となっています。首都圏で車を持っていたとすると、月極駐車場は1.5万円~4万円かかりますが、青森市内では3,000円~1万円といったところでしょうか。


このような移住にかかる費用を知りたいと相談に来た方もいれば、移住後の収入・支出を含めた家計について聞きたい、子育て環境について聞きたい、など様々でしたが、一方的に「青森に移住した方が良いですよ!」ということではなく、「自分自身と家族の価値観やライフプランを考えた上で選択しなければなりませんよ!」という気持ちでお話させていただきました。ある相談者は、通勤時間や仕事の時間を含めると平日は帰りがかなり遅くなるようで、自宅から勤務先までの往復での通勤時間は神奈川県110分、青森県59分で、1日あたりの差が51分という調査があり、通勤時間や仕事の時間などが首都圏より短くなることにより、子供と過ごす時間など人生で自分のために使える時間が増える可能性があることがわかると、目をキラキラ輝かせ、自分が思っていることをたくさんお話してくれました。人生の時間は有限でとても大切なものなので、時間を有効に使うことは『自分の人生を大事にしている』ことと一緒だと考えています。また、賃貸住宅の探し方ではインターネットに加え、リブインあおもりなど、地元の住宅情報誌なども利用してみることをおすすめしておきました。ぜひ、皆さんの身近な人で青森県へのUターン、移住を考えている方がいらっしゃいましたら、以上のことを参考にして、増えるコスト・減るコスト、準備しておくべきお金について簡単にでもアドバイスしてあげてください。

おしえてムーラン

去り際の身支度と相続登記と私

改正相続法7月施行分のおさらい

先日、久しぶりに新町へ雨傘を買いに出かけました。結局気に入ったものがなく、買わずじまいで店を出たんですがね。帰り際、ご近所にあるお気に入りのケーキショップへ。いつもアイドルタイムを狙って立ち寄るので、お客様もある程度退けてて店内は静か。このケーキショップに来店するお客様は、どちらかというと「ご婦人」が多い気がします。私が通された席も、そんなご婦人二人組の隣。読書しながらオーダーしたメニューが来るのを待つのですが、お隣の会話が嫌でも耳に入ってきて。どうやら「相続」いや、「争族」の話題。そういえば、すでに一部施行済みの規定もありますが、さらに7月1日より改正相続法がいくつか施行されました。7月からはご婦人たちの話の中にも出ていた「遺留分」についても見直しがされており、遺留分に満たない分については現金で精算するよう請求できるようになったとのこと。ちなみに、遺産が不動産しかなく、現金をすぐに用意できないような場合は、裁判所の判断で支払期限を延長できるそうです。また、従来法定相続人に限定されていた「寄与分」がたとえば、義父や義母を介護していた「嫁」にも認められる特別寄与料も新設されています。上記のほかにも・被相続人の生前の入院費用、葬儀代などの費用の支払いのために被相続人の預金口座から一定額を引き出すことのできる「仮払い制度の新設(要件あり)」・自宅を配偶者に生前贈与していた場合、婚姻期間が20年以上あればその分は相続時の遺産分割の計算から外す、などの規定が新設されました。(なお、来年4月以降も新設規定が施行されることになっています。)

相続登記、とっても大事です

7月の中旬、日経新聞に「去り際の身支度」というタイトルでコラムが組まれていたのを興味深く読みました。もはや他人事ではいられないので(笑)。「終活」という言葉があるけれど、個人的にはこちらのほうが言い回しは好みかな。その「身支度」の中で忘れてはならないのが「相続登記」。相続登記が未了のまま放置されるケースが多くなっており、空き家問題をはじめとして様々な社会問題の要因となっている可能性があるとのことで、数年前から法務局の登記官自ら講師役を務め、相続登記の大切さを説いていらっしゃいます。(詳しくは、法務省のホームページ「法定相続情報証明制度」をご覧ください。)なぜ、この登記が大切なのか。名義が被相続人のままだと・不動産を売却したくても契約できないし、担保に提供することもできない・相続人の数がどんどん増える などのデメリットがあります。ここにあげたデメリットはほんの一部。上記の例で言えば…相続登記をしていないということは、まだその不動産は被相続人(故人)名義のままになっているわけで、その状態で売却しようとしたとき、名義人の押印欄には誰がハンコを押すのですか?視点を変えれば、自身が不動産を担保に金融機関から融資を受けたくても名義人でない以上、担保の提供もできないということも言えるわけです。相続登記は簡単に数日で完了するものではないですし、税金やメンテナンスの義務を負いたくないという理由で登記しない方もいるようです。でも、人の心のタイミングや不動産価格の相場等、変化するのも事実です。放っておいて他のトラブルが発生する前に、早めの手続きをお勧めします。

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